小松重男「間男三昧」

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小松重男は、と言うより時代物を読むのは久しぶりです。MY 書棚を眺めると、下掲の3冊がありました。横には、柴練や白石一郎、津本陽、藤沢周平等が。
演歌歌手がみんな歌が上手いのと同様、時代物作家も小説巧者が多いし、歴史的知識にも通暁しているようです。いや、そうでなければ「読める時代物」なんて書けないに違いないと思います。
さて本書ですが、表題作以外に八つの短篇から成っています。
  あらまら虫
  愚図麿の枕絵
  千両蜜柑異聞
  お狂言師          連作
  一本の髪の毛        ↓
  うってん ばってん      ↓
  くじりぼけ           ↓
  無用の短物          ↓

なんとも意味ありげなタイトルですね? そもそも”間男”って分かりますか?  亭主をコキュ(虚仮)にすることですね。
表題作「間男三昧」は、まだ若いのに二度も婚家から戻された女が、その原因が間男を繰り返したということが知れ渡っているのに、乞われて三度目の嫁入りをするところから始まります。相手は30才も年上の初老の札差。大金持ちです。この時代、経済構造の変化で、大名も旗本も札差には頭が上がりません。莫大な富を築いた者が多かったようです。彼も然りで、稼ぎもスゴイが遊びもスゴイ。色町で鍛えたテクで初夜に臨むが、間男三昧に耽った女にはテンデ通じない。これが通じる為には、彼は財産をすっかりなくしてしまい、棒手振りで野菜を売り歩くようになるまで待たねばならない。 さて、その経緯は?

連作の5篇ですが、”お狂言師”というのは、もともと大名家の奥女中に踊りを教えるという名目で出入りを許され、やがて女役者だけで”御殿芝居”といわれる歌舞伎狂言などを上演するようになった連中で、各大名家のお抱えとなり、年に50俵ほどの御扶持を支給されていたようです。しかし、これだけでは各流派の師匠達はとてもやっていけないので、終演後、弟子達が見物の奥女中と といち・はいちを行なって貰ってくるお祝儀の金で一流一派を維持していたものです。
この5篇では、坂東流のエース坂東琴絵が といち・はいち で頑張るあれこれが描かれています。面白いですよ。      05.6.11読了

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by amamori120 | 2005-06-11 19:06 | 読後感・本の紹介