宮尾登美子「菊亭八尾善の人びと」

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NHK 「篤姫」総集編を観てしまったので、時間がなくなり、風流堂サンのファンでもある宮尾先生つながりで、知り合いの記事を借りてUPします 042.gif










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1994.12 新潮文庫・刊 ¥850

江戸時代から連綿と続く、超高級料亭「菊亭八百善」の話です。

元禄のころ、山谷で野菜、乾物を商っていた八百屋善太郎が始祖だそうです。ほどなく食い物屋を始め、最盛期には、将軍がおなりになるような高級料亭に進化を遂げたといいます。
江戸の文人墨客、たとえば酒井抱一、太田蜀山人、谷文兆などが、ここを根城に群れ集いまた有名な大名達、たとえば松江の松平不昧公らもよく訪れ、一種のサロンを作っていたことが窺われます。山谷の八百善は、7,8千坪もあり、敷地の中には霞が棚引いていた!

金に糸目を付けぬ人達が集まるサロン八百善は、高級料理もさることながら、それを味わう建物、内装、道具、食器、飾り物も当然立派なものでなければならなかった訳で、流石の大名達も垂涎する逸品揃いだったと言います。それらが代々受け継がれて来ています。

 さて、本書は昭和23年、主人公の汀子が八百善・杉山家の次男と結婚するところから始まります。戦争で焼け出されるまでは築地で店をやっていたのですが、今は八代目夫婦一家は大あたりで居食し息子達は勤め人です。彼女が嫁入りした大森の杉山家は、こういう家族構成です。八代目夫婦、長男夫婦、小姑二人、それに次男・汀子夫婦と使用人達です。
たかが食い物屋とはいえ名家に嫁いだ汀子が、環境の違いにとまどいながらも生活を続け子供も二人生まれます。そして昭和27年、山王の地に八百善が再開されます。築地までは一水亭だったのが、ここからは菊亭と称するようになります。

 八代目は店を作ったあとは次男・汀子夫婦に経営をすべて任せてしまい、ここから汀子の本当の苦労が始まります。菊亭八百善の人びとは、どんな動きをするのでしょうか?
 ノーテンキな夫への不信、古参従業員の不審な行動、汀子の腐心、そして商売の不振・・・
さあ、汀子さん 大変です!

 文庫本で600ページの大部ですが、こなれた文章で色々な事件、事柄、人物を描いていくので、あれよあれよと読めてしまいました。ネタバレを懼れて、これくらいに止めますが、現在の菊亭八百善は? 銀座で健在だそうです。汀子夫婦の長男がやってます。10代目ですね。


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by amamori120 | 2008-12-28 22:18 | 読後感・本の紹介