公事宿事件書留帳 12,13,15 ほか

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20年近くに亘って書き続けられている
澤田ふじ子サンの人気シリーズです 001.gif











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著者近影


公事宿とは、宿泊施設を備えた法律事務所のようなものですね。
江戸時代でも現代と同様、一般庶民にとって、訴訟手続きは面倒なものでした。
だから公事宿に依頼して裁判にかけたんですね。
また遠方からの客のために、宿泊施設を用意するのは当然のことでした。勿論賄い付きです。
江戸は馬食町、大坂は谷町、そして澤田サンの殆どの小説の舞台である京都は、二条城南の大宮通り界隈に固まっていました。
公事宿が扱うのは、主として<出入物(でいりもの)>つまり民事訴訟です。
原告が、目安(訴状)で相手を訴え、町奉行が相手を白州に呼び出して返答書を提出させ、対決(口頭弁論)と糾(ただしーー審理)を重ねた結果、裁許(判決)を下す・・・こういう流れなんですね。
これは素人には無理です。やはり司法に詳しい専門家に頼まなければなりません。
公事宿は必要なシステムでした。


登場人物その他の設定はコチラをご覧ください。

シリーズ 12
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比丘尼茶碗 2007.10 幻冬社文庫・刊  ¥590

モーさんのK○○○に倣って雨漏りも読了した本にAナンバーを付けてみました。
本書はA-07-186 07年の186冊目です。


妙寿尼の焼く黒茶碗は名匠の作と見紛うほどの逸品。その茶碗を譲り受けた田村次右衛門(主演・菊太郎の父)は、尼僧の窮地を知り、宗琳(準主演・鯉屋源十郎の父)と共に人助けに立ち上がる。
菊太郎・源十郎たち現役組をさしおいて、今回は隠居組が大活躍。
表題作ほか、お婆の斧、吉凶の餅、馬盗人、大黒さまが飛んだ、鬼婆 を収録。


シリーズ 13  A-08-178
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雨女 2008.6 幻冬社文庫・刊  ¥590

泥鰌の棒手売りをして暮らしている独り身の岩三郎は、或る大雨の日、自分の住む長屋の木戸にもたれて雨に打たれている若い女を助ける。事情は訊かずに、ただ置いてくれとしか言わない女の正体とは?

表題作ほか、牢屋敷炎上、京雪夜揃報、幼いほとけ、冥府への道、蟒(うわばみ)の夜  を収録。


シリーズ 14  「世間の辻」 は未読です。



シリーズ15  A-08-177
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女衒の供養 2007.9 幻冬社・刊  ¥1,680

気鬱の病でブラブラしている又七と一緒に暮らす、若い女おみさが、又七と別れた女房のところにやってきて、又七を引き取って面倒をみてほしいと言ってきた。
気鬱の病は又七が昔、女衒をやっていて多くの女を泣かせたことに原因があるようだ。男女関係のないおみさは何故又七の世話をしているのだろう?
菊太郎が見事に解決してみせる。

表題作ほか、奇妙な婆さま、牢囲いの女、朝の辛夷、あとの憂い、扇屋の女 を収録。




おまけ
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黒染の剣  2000.11 ケイブンシャ文庫・刊  ¥900
A-07-190

京の吉岡家は室町将軍の剣術指南役だったが、幕府崩壊とともに新しい染め物法を編み出し、染物屋として繁盛しているが、その高い剣名を目指して次々に武者修業の武芸者が現れては去って行く毎日。
そんなある日、宮本武蔵と名乗る、みるからにワイルドな獣の臭いをぷんぷんさせた男が挑戦状を高札に掲げた。

吉岡家から見た宮本武蔵を描いた小説。
畏友桃源児サンは武蔵の二天一流を習っておいでのようですが、本書の中の武蔵は、オーソドックスを本とする吉岡流に対して、勝負は勝たなきゃダメだとばかり、所謂汚い手を使いまくって勝つ卑怯な男として描かれていて、実に興味深いものがあります。
by amamori120 | 2008-12-18 15:35 | 澤田ふじ子を読む