童話・神話
2008年 11月 12日
あんまり子供たちには読ませたくないですねぇ
(^^;)

「グリム童話のなかのぞっとする話」
金成陽一・著 1999.4 大和書房・刊 ¥1,785
「眠り姫」「眠れる森の美女」として知られるこの童話はディズニー映画などで、ロマンチックなお話とされてますが、原作「野ばら姫」には、死体愛好(ネクロフィリア)という異常性愛が見てとれるといいます。また、グリム童話に100年先行するペローの「眠れる森の美女」では、姫に接吻して目覚めさせる王子の母親が、恐ろしい「人食い鬼の種族」だそうで、人肉嗜好(カニバリズム)というテーマも潜んでいるそうです。
「ヘンゼルとグレーテル」一番恐ろしいのは魔女ではなくて、残酷な子供たちだったという。そして、暗い恐ろしい森をさまよううちにヘンゼルとグレーテルは近親相姦を犯してしまい、魔女は本当は、禁じられた快楽に走る未熟な子供たちに、立ちふさがる大人の象徴なのではないか。
グリム童話のなかには、初版の段階で含まれていた性的な描写や残酷すぎる表現が、削除されてきたが、現在の段階でも、性的なにおいや雰囲気が感じられるそうです。
たとえば「赤ずきん」にしても、ベッドで赤ずきんを待ち受ける狼は、若い娘を我が物にしようとする一見やさしげな男にも思えるそうです。
このほか、「白雪姫」「シンデレラ」にも人肉嗜好(カニバリズム)、死体愛好(ネクロフィリア)を思わせるにおいが拭い取れないと言っています。

「アンデルセン童話の呪い」
安奈 泉・著 1999.5 大和出版・刊 ¥1,470
アンデルセン童話のベースに流れているものは、血も凍りつくようなホラー性だとしています。
猟奇殺人、暴力、自殺、変態、近親相姦、レイプ、不倫、不貞、嫉妬、裏切り、復讐、詐欺、金銭への異常なまでの執着、徹底したエゴ、ストーキング、怨霊・・・・・
アンデルセンは極貧の家に生まれ、父は家代々の精神病で狂死、母は物乞いからスタートし、やはり精神病院で死ぬ。この両親の遺伝子を受け継ぐアンデルセンは、女性に人一倍関心がありながらも、一度も愛された経験がなく生涯童貞だったといわれます。
「人魚姫」「親指姫」「赤い靴」「マッチ売りの少女」他について、例証しています。

「大人のための 残酷ギリシャ神話」
山口 椿・著 1999.5 日本文芸社・刊 ¥1,365
ギリシャ神話の登場人物は、ゼウスとオリンポス12神ですね。
12神とは、ポセイドン、ハデス、ヘラ、ヘスティア、デメテール、アルテミス、アテナ、アフロディテ、アポロン、ヘルメス、アレス、ヘバイトスです。
ギリシャ神話は、表層で人間関係を語りながら、その奥底に民族の歴史を含ませているという構造だといわれます。そして表層を彩る物語は、神々の名を借りた人間世界の関係そのもので、残酷性に満ちています。
ゼウスの浮気に嫉妬した正妻ヘラが相手の女神をいじめ、その子供を迫害する。自分の尊厳を傷つけられた女神がその相手を極めて残忍な手口で殺害する。自分の裸身を見られた女神が見た男を鹿に変えて犬に襲わせて殺す。男神の男根が切り取られる。母子が関係を持つ。姉と弟が関係を持つ。子供が八つ裂きにされて大釜で煮られる。日常茶飯事の不倫。妻が情人と組んで夫を殺す。母が子供に殺される。・・・・・
まるで現代と同じですね。
ヘラクレスの誕生・冒険、レダの夢、ミノス王の悩み、ナルシスになりたい、メディアとイアソン、ディオニソス」教団、オイディプス王 など20編を収録しています。
著者は画家でもあるようで、スバラなイラストがいっぱい。ポルノっぽいのも多いので、UPは断念して、自分だけで楽しむことにしました ww

「千一夜物語」
康 君子・著 1994.12 同文書院・刊 ¥1,260
千という数字はアラビア語で、非常に多いという意味だそうで、偶数は縁起が悪いとするアラブ人たちが千一にしたと言われます。
この物語集には、恋愛物語、犯罪物語、神仙譚、滑稽譚などをはじめ、教訓、金言、美談なども含まれ、まさに説話の宝庫と言えますね。
すべての物語に共通するのは、イスラム教こそが最高の宗教であり、登場人物は、このイスラム教の全知全能の神アッラーの定めに従って、有為転変の運命を辿ることから、イスラム教のPRのために書かれためとも言われるそうです。
女はしたたかに男を騙し、美男美女はいつの時代も騒がれ、純愛あり、不倫あり、現代と変らぬ人間模様が描かれています。
「神話」つながりで、こんな本も、my書棚にあります。

「ペルシャ神話」
黒柳恒男・編訳 1989.6 泰流社・刊 ¥2,472

「秘教インド神話」
シャランダーラ・サラニア 著
1959.9 個人出版 ¥940

「日本の神話・伝説を読む」
佐佐木隆・著 2007.6 岩波新書・刊 ¥820
by amamori120
| 2008-11-12 13:31
| 読後感・本の紹介

