「宦官物語」 寺尾善雄

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「宦官(かんがん)物語」
男を失った男たち 








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寺尾善雄・著 1985.5 東方書店・刊 ¥980


宦官とは、ご存じのように、男性器を切除された「男」のことですね。
宦という字は、宀と臣の組み合わせですが、宀(官庁)と臣で、君に仕えることを学ぶ者、すなわち官吏見習い、転じて一般官吏を指したのが、のちに去勢されて宮廷で使役される男子の呼称となったものです。


彼らは、エジプト、ギリシャ、ローマ、トルコ、支那、朝鮮と地中海からアジアに至る地域に存在し、宦官が存在しなかった文明国は日本のみでした。朝鮮でも李朝末期まで居たそうですよ。
ご案内のように、宦官=支那と誰もが思いつくように、最も彼らが目立つのは支那でした。
だから日本に宦官なるものがいなかったことは、日本と支那間の同文異種の側面を解明するうえで不可欠の大きな要素の一つだ と著者は言ってます。そして安易に「同文同種」だと思わないこと が大事だとも。
家人Tなんか、毒ギョーザ以来、異文異種だと息巻いています ww



<雨漏りメモ>
罰として去勢されることを宮刑といいます。自分でカットするのは自宮です。自営ではありません。  カットショーの好きな雨漏り、気を付けねば!
また、”老公”とは宦官のことで、水戸のご老公は日本に居てよかったですね www
一旦、老公になると、一族から除籍され、一族の墓にも葬ってもらえなかったようです。
立派な宦官としては、「史記」の司馬遷、大航海王の鄭和(国姓爺合戦の鄭成功のパパ)、紙を発明した蔡倫がいます。彼ら以外はすべて悪党でした ww



本書では、殷の時代から清朝末までの宦官の歴史を辿っています。
なかでも後漢、唐、明、清について詳述されています。

後漢は宦官によって滅亡したと言われるくらい宦官の弊害が現れた時代です。
宦官は皇帝の奴僕から発して、専制君主の爪芽となり、さらには暗黒政治の主宰者にまで進んだと著者は断じていますが、以下の三つの状況、君主が暗愚または政治に飽きた場合、君主が幼少で外戚がのさばった場合、女性が国家権力を握った場合に、宦官は跳梁跋扈したという事実がありました。



唐(618~907)は、後漢、明と並ぶ宦官の専横時代ですが、唐朝後半約百年間に九人の皇帝が即位したが、そのうち七人は宦官が擁立し、そうでない二人は宦官によって殺されるという実に異常な時代でした。
最も有名な宦官としては、楊貴妃をくびり殺した高力士がいます。



明(1368~1662)は、中国史上最も宦官が跋扈したした帝国と言われます。
宦官による皇帝の廃立や殺害はなかったけれど、皇帝を軽んじ、権勢をほしいままにしたことにおいて後漢や唐と同じです。悪徳宦官の代表としては劉瑾というのが居ます。



清(1616~1911)は明の轍を踏まず宦官制度を大幅に改革し、宦官の行動を厳しく抑制しました。康煕帝、雍正帝、乾隆帝など賢明な諸帝がまじめに政治を行ったので宦官の弊害は清末の西太后(1844~1917)までほとんどなかったようです。
西太后の垂簾聴政時代、宦官は大いに愛寵されて大きな害毒を流したのですが、代表的なのは李蓮英です。彼が西太后の威光を笠に着てgetした賄賂は数十億円にのぼると言われます。
噂では、彼は完全な男で西太后の情夫であったらしいです。彼の子を密かに生んだとも。


こうして見ると、宦官は辛亥革命(1911)以前の中国史を裏面で動かした大きな・・・マイナス面で・・・存在だったのですね。
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Commented by い~さん(^.^) at 2008-04-07 08:18 x
やはり~
権力に近づけば
近づくほど~ 
まとも じゃなくなるというのは
どの時代~どの国でも
同じですね       (^_^;)
Commented by pinkcowgirl at 2008-04-07 09:02
昔、浅田次郎さんの「蒼穹の昴」を読んだのおもいだしました。
特にシナの国(書けない)はすごかったんでう書ね。
男は何時の時代でも権力持つのが夢だったのでしょうね。
Commented by 桃源児 at 2008-04-07 11:04 x
宦官と言えば、思い出すのは秦の超高。彼もやはり国を滅ぼした悪党でしたねえ。
Commented by ホンロン at 2008-04-07 12:41 x
老公って今でも使いますけどね。
意味は、妻から夫へのよびかけで「あんた」みたいなニュアンスです。
夫から妻は 老婆 という言い方があります。
婆は年取った女性ではなく「かかあ」みたいな感じですね。
Commented by ひー at 2008-04-07 14:46 x
へ~!へ~!へ~!
それほどの歴史を何故、耳にしなかったのだろうと思います。
TVでも取り上げてるのを見たことありません。
なぜでしょう。?秘密にされていた史実でもありませんよね。
確かにいろんな心配をすれば、そんな考えも成り立ちますが・・・・
奴隷と同じように思えます。
よくソプラノ歌手?で去勢されたのは聞いた事がありますが、これは
切っちゃうんですからね。   コワ!
Commented by ぐ~ at 2008-04-07 20:26 x
おとろしかぁ~。
そがぁん身体ば痛めつけんちゃよかとに~。
Commented by amamori120 at 2008-04-07 20:48
>いーさん  レスが遅れました。
著者は、宦官にことよせて、現代にも宦官的な部署・人間の存在することに警鐘を鳴らしています。
Commented by amamori120 at 2008-04-07 20:54
>あや姐さん  レスが遅れました。
「蒼穹の昴」は浅田さんの直木賞狙いの作品でしたがダメでした。
面白くて一気読みしましたよ。  「珍妃の井戸」も清末もので、西大后の意を受けて李蓮英が手を下した(井戸に放り込んだ)と言われています。

宦官は100%貧しい家の出身で、食うために宦官にならざるを得なかった連中が殆どです。
Commented by amamori120 at 2008-04-07 20:57
>桃源児さん  レスが遅れました。
秦の超高  さすがよくご存じですねぇ
本書でも一節を割いて記述されています。
第二代目をたぶらかして秦を滅亡に導きました。
Commented by amamori120 at 2008-04-07 21:00
>ホンロンさん@昼休み     レスが遅れました。
言葉は生きていて変るものなんですねぇ
老は、dear みたいな使われ方でしょうか?
Commented by amamori120 at 2008-04-07 21:04
>ひーさん  レスが遅れました。
まとめて取り上げられることはなかったかもしれませんが、思い当たる節はあるんじゃないでしょうか?
本文にも記しましたが、ザ奴隷ですよね。

カットも、鶏巴がメインですが、ホーデンをやるケースもあったようです。
Commented by amamori120 at 2008-04-07 21:20
>ぐーさん  レスが遅れました。
食うや食わずの連中がほかに生きる道がないので、仕方なくなったというケースが殆どのようです。
しかし、宦官の世界にも当然ヒエラルヒーがあって、良い目を見たのは上層部の連中だけでした。
Commented by ひー at 2008-04-07 22:04 x
実は、多賀神社なのですが、国府が置かれた多賀城だけかと思いきや
仙台市内に西多賀と言う地名があります。
そこの地名の由来となっているのが、多賀神社です。
他にもあるのか? 気になって? 基本的には塩釜神社と祭られてる神は同じだったのですが?
Commented by igu-kun at 2008-04-07 22:08
宦官が中国の歴史を動かしていた時代があったのですね。
たいへん興味深く読ませて頂きました。
Commented by amamori120 at 2008-04-08 00:19
>ひーさん   こんばんHA
多賀神社 すこし調べてみます。
陸奥国一宮の塩釜神社、祭神は塩土老翁神、武甕鎚神、経津主神ですね。
Commented by amamori120 at 2008-04-08 00:21
>igu-kunさん  こんばんHA
表面にはあまり出て来ないんですが、詔勅を勝手に出したりしていたようです。
Commented by nyhanako at 2008-04-13 23:03
昔、ありそうでないものというお題に、宦官の世襲制と答えて座布団を頂いたことがあります。
血族意識の高い中国韓国において、種を絶たれるのは、いかばかりの・・・でしょうね。
それ故に我が身一代の現世的な執着も強かったのかもですね。
Commented by amamori120 at 2008-04-13 23:13
>nyhanakoさん  こちらでは、こんばんHA
山田君、5枚ほど持ってきたでしょ?  ww

どうにもならなくて宦官になった連中が殆どですが、一族からも絶縁されて、役得に生きる?しかなかったんでしょうね。
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by amamori120 | 2008-04-07 00:47 | 読後感・本の紹介 | Trackback | Comments(18)