山本夏彦「世間知らずの高枕」
2008年 03月 04日夏彦さんの辛口コラム。
久しぶりでした
週刊新潮 平成元年十月十日~平成三年十月二十四日号に連載した100篇のコラムを一本に所収したものです。
雑誌「室内」の工作社を主宰しつつ、辛口コラムで人気のあった方ですね。
惜しくも先年鬼籍に入られました
夏彦さんの文体が大好きで何冊も読んだものです。
例えば、こんな具合です、少し長いけど。
「テレビのない家庭」を読んで、そんなうちがまだあったかと乗り出したら川嶋紀子嬢のうちだと知っていかにもと思った。
失礼ながらあの顔というよりあの表情、挙措進退は戦前のものである。戦前ならずいぶんないではなかったが、戦後は絶無になった。ことにジョギング中をカメラに待ち伏せられ、他意なく立ちどまって会釈された写真はよかった。微笑をたたえている。
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私はテレビぎらいというよりほとんど憎んでいる。あんなものは百害あって一利がない。ないほうがいいと思っているが、出来たものは出来ない昔に返らぬこともよく承知している。
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中公文庫、文春文庫でgetできますから、未読の向きは本屋に、れっつぎょーしましょう