「元禄御畳奉行の日記」神坂次郎
2008年 02月 22日
「元禄御畳奉行の日記」神坂次郎
1984.9 中公新書・刊 ¥480
翌年1985.1には11版ですからベストセラーですね。

帯にあるように、元禄に生きた酒好き女好きのサラリーマン武士が無類の好奇心で書き残した稀有の日記をもとに当時の世相を生きいきと再現する 本ですね。 日記名を「鸚鵡籠中記」といいます。
御三家の一つ名古屋尾張徳川家に仕えるフツークラスの武士・朝日文左衛門が書きも書いたり8,863日に亘って書いた日記です。
内容は、当時の世相、物価から天候気象、日蝕、月蝕の観察、城下に起きた大小の事件から身辺雑記、演劇批評から博打情報まで、興味の赴くままに書き継いでいます。
幕政への批判、藩政の無能、名君と言われた四代藩主吉通の実態や、生母の淫乱極まりない行状を書き残していますが、もしばれたら即刻切腹ですよね。
実は、これがとんだバカ殿様で、いきなり寒中水泳をやるッと言い出したが池の水が冷たいので不機嫌になったから家臣共が簡易プールを造って大鍋で湯を沸かし使って貰ったはいいが、いい加減な造作で雨漏りならぬ水漏れがして1回でパー。なんと800両の無駄遣い。また荒淫にふけり、それがもとで早死に。
この子--吉通--にして、この母あり。家臣であれ、相撲取りであれ、役者であれ、町人であれ、気に入った男はすべて引きずりこんで淫戯に耽り、とうとう幕閣の知るところとなり、閉じ込められて、男欲しさに狂い死に。
文左衛門、最初の勤務は御本丸御番。本丸の警備ですね。それがなんと9日に1回の勤務。月に3日ほど宿直すればいいのです。それも弁当持参、お酒OK! 一つの仕事に武士が3人というくらい、人が余っていたんです。 あとは”自由時間”!! 本来ならば、文武両道に励むべきなんでしょうが、そんなことをする訳もなく、魚釣り、観劇、宴会、ネタ探しの徘徊、博打などに励んでいるんです。
やはり、小人閑居して不善をなす ってやつでしょうか。
100石+アルファの収入でも毎日酒が飲め、女遊びも出来たんです。そうそう、彼は酒の飲みすぎで肝臓がイカレ、多分肝硬変で若死に(46歳)してしまいます。
女といえば、弓道場主の娘を娶るんですが、じきに女中に手を出し妻妾同居を敢行します。妻の嫉妬に悩まされ(当然ですね)10年で離縁するのですが、再婚しても又もや女中を孕ませたりしています。
まぁそれやこれや文左衛門のチョー・ミーハーぶりには感心するくらい色んな情報を日記に書いています。下手な小説よりよほど面白く一気読みもいいとこでした

