コレット 「花 28のエッセイ」

コレット 「花 28のエッセイ」_d0065324_9224152.jpg「花の図書館」 コレット  花 28のエッセイ
1993.12 八坂書房・刊 ¥1,800
森本謙子・訳

「青い麦」のコレット女史による花に関する28編のエッセイ集です。







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1947年、73歳のコレット女史はリューマチのためパレ-・ロワイヤルの自宅で寝たっきりになっていましたが、スイス ローザンヌのメルモ社というところが、週に二度違った花を送るので、その花についてのエッセイを書いてほしいという依頼をしました。それらを纏めたのが本書です。

訳者によれば このエッセイは「花」を観察しながら、想起したことをとりとめもなく綴ったという体裁をとっているが、老練なコレットの文体は実に凝っている。ほとんど解剖をするというような観察眼をもって、具体的に花の器官を描写しながらも、その表現は詩に近い。現在から過去へ、現実から夢想へと自在に飛躍していく・・・・

チューリップ Tulipe の一部を抜粋してみましょう。
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・・・・まあいい、こちらに来て、私の相手をしておくれ、チューリップよ。私はお前のことを語りたいのだ。復活祭の玉子のように赤く塗られ、黄色やオレンジで飾られたチューリップよ、こちらにおいで。お前の重いお尻は茎の上で閉じている。そしてお前は中心に青あざを隠している。真紅の大きなケシも、同じ場所にこの青あざを持っている。
花壇に整然と、何千ものチューリップが並んでいると、お前の仲間たちは、信じられないほどみな似てる。大きさも丈も同じで、花柄はまっすぐ、花は必ず一つだ。隊列をなしているお前たちは、平坦で、手入れがゆきとどき潤っているオランダの風景のなかの閃光のようだ。お前たちは、青みがかった緑色で、いつも少し気落ちしたような長い耳形の葉を正装のしきたりとしてまとっている・・・・・
白状すると、お前の力強い色彩に対して、私は熱い尊敬の念を抱いている。・・・・


植物学者のような鋭い観察眼と、老いてもなお瑞々しさを失わないコレット女史の感性で書かれたこの花のエッセイは類書の中でも最高峰に位置するものと思っています♪


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by amamori120 | 2007-09-28 09:32 | 読後感・本の紹介