紅のサザンクロス 藤川桂介
2007年 09月 16日
紅のサザンクロス 藤川桂介
1992・10 新人物往来社・刊 ¥1,500
アボリジニの味方をした白人が居たっ!

18世紀の末に、オーストラリアに流刑植民地が設置され千人近い囚人達が送られてきた。
それと併行して、良民の移民たちも大挙して乗り込んできた。
そもそもオーストラリアにはアボリジニという先住民族が居て、のんびりと暮らしていたのだが、西欧人がドカドカと入ってきて彼らを圧迫し始めたのだ。
会田雄二「アーロン収容所」にも記されていたのをフッと思い出したが、イギリス人というのは、白人以外の人種を、「差別」じゃなく「区別」するところがある。 ここでもイギリスの統治者たちは、アボリジニ独自の文化を全く無視し、自分たちの流儀を押しつけて「未開の輩を教化」していると信じているようだ。
ここに流刑とされた囚人達は、泥棒や強盗犯ばかりではなく、政治犯たちも居た。
この物語の主人公ジョン・ケリーもその一人で、このオーストラリアの現状を見て、オーストラリアはアボリジニ達に返し、西欧人は出て行くべきだと考えるようになり、アウトロー達の中から仲間を作り、総督府への戦いの準備を始めた。
僅か十人足らずで強大な総督府に戦いを挑むのはまさに蟷螂の斧だが、白人の中に、アボリジニのために戦った者が居たということを彼らに知って貰うだけでも意義があると信じ果敢に挑戦するのだ。
「紅のサザンクロス」は彼らの旗で、何年も後に、アボリジニ達は追いつめられながら、ついにその生存を賭け、この大陸は自分たちの大地であると宣言して立ち上がったというが、彼らもこの「紅のサザンクロス」旗を掲げていたという。
18世紀の終わりに、流刑囚たちが初めて送り込まれたとき、50万から100万人居たというアボリジニは現在混血の者を入れても23万人だという。

