立松和平「光線」 他
2007年 05月 24日立松和平「光線」
1989.4 文藝春秋・刊 ¥1,200
モシャモシャ頭、やや出っ歯の口から栃木訛りで喋る立松和平サン。
↓でも紹介していますが、アジアが好きで、勿論ヤポネシア(日本)も好きで、若いときからあちこち歩き回っておられたようです。TVの旅物にも出られてますね。
デビュー作「遠雷」からずううっと注目している作家の一人です。
アウトドアと官能 これが立松サンのキーワードと思っていますが、みなさんは如何お考えでしょうか?
本書「光線」でも、このキーワードで読み解くことが出来ると思います。
筋は簡単です。
キャラバンシューズにリュックを背負って、鉄道駅から1時間半バスに乗り、バスの終点から2時間半以上も歩いてやっと辿り着ける、まさに秘湯。電気も来ておらず、自家発電をしているような湯宿が一軒のみの温泉と東京が舞台です。
客は、一月以上も滞在する所謂湯治の老人・老女ばかり。
その名も”月熊温泉”。
28歳の私は、みんなに珍しがられるが、もう一人私と同年齢くらいの若い女客が居た。
彼女と大自然のなかで、三度交わることになるのだが、死ぬつもりで、こんな山奥に来ていた彼女は死ぬのを一時延期し、私に拘ってくる。東京へ戻った私の家に電話を架けてきたのだ。
家には妻と幼い娘が一人居る。電話を取ったのは妻・・・・・
まぁ通俗的な筋ですが、自然描写と心理描写が実に文学的で、ひさしぶりに純文学を読んだ・・・という気持ちになりました。
例によってmy書棚の立松作品のご紹介です♪