樋口有介「彼女は多分魔法を使う」

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樋口有介 「彼女はたぶん魔法を使う」
2006.7 創元推理文庫・刊 ¥820








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この著者の「初恋よ、さよならのキスをしよう」の再読がキッカケで未読の樋口有介を集中的に読んでみました。
恰も、創元推理文庫で再文庫化されgetし易かったのはラッキーでした。

これも柚木草平シリーズ第一作です。
彼のことは、UP済み 初恋よ、さよならのキスをしよう 及び本文中のリンク先の記事を参照ください。

妹の由美がひき逃げされて警察は交通事故で処理しようとしているが、どうも納得できない、ただの事故とは思えないから調査してほしいと柚木を訪ねてきたのは、島村香絵という歳は27,8。顔立ちもスタイルも本人さえその気になれば雑誌のモデルくらいにはじゅうぶん使えそうな女だった。
「君がただの事故ではないと思う、理由は?」
「それは、その勘みたいな・・・・・」
「君に霊感があるならわたしに金を払う必要はない」

こんな会話で始まるんですが、一風変わった探偵でしょ?

彼には、元警察での上司(警視)で、愛人関係にあるよしじま冴子という女性がいて、彼に時々仕事を回して来る。
夫が居て法務省の官僚。「(夫が)明日は休みをとって、一日わたしをお芝居と買い物に連れていってくれるらしいわ」
「俺よりは優しいな。いっそ亭主と結婚すればいい」


「君は俺を誤解している」
「そうかしら」
「俺は君が思っているほどタフじゃないし、ハンフリー・ボガードにだって似てないさ」

などという会話を交わすんです。

”たぶん魔法使う彼女”とは、夏原祐子という由美と同じ大学の女子学生で、寝ぼけたような声を出す、とぼけた女の子。
彼女が魔法を使って事件を解決・・・・・しません ww
柚木に協力して事件の解明に力を尽くすんです。

謎解きはともかく、彼女とのやりとりがまた面白いんです。
「歯を磨いてきて正解だった」
「なんのこと?」
「君みたいに綺麗な子とこんな近くで話ができるとは思わなかった」


「わたしの名前を出さなければ、雑誌に書いてもいいですよ」
「君の名前は日記にだって書かない」

この彼女が、なんとなく魅力的で、草平も気になり出すんですが、祐子もそうなったらしく、事件解決のあと、南の島へ草平を誘ったりするようになる・・・


いつもの樋口節快調で、益々この作家が気になりました ♪
by amamori120 | 2007-04-27 00:40 | 樋口有介を読む