時実新子 「有夫恋」 6 除籍入籍
2007年 04月 25日
「有夫恋」 おっとあるおんなのこい
1987・12 朝日新聞社・刊 ¥1,030
FINALです!。

時実新子 (ときざね・しんこ) 本名 大野恵美子
1929年 岡山市生まれ
1945年 岡山県立西大寺高女卒
1946年 姫路市へ嫁ぐ(17才)
1947年 長女誕生(18才)
1951年 長男誕生(22才)
1985年 夫死亡
1987年 曽我碌郎と結婚(58才)
2007年 死去
<除籍入籍 1981~87 >
☆新しい男しばらく鹿の艶
☆よき別れ春の畳に大の字に
☆わたくしは遊女よ昼の灯を点もし
☆今日届く手紙とつばくろを信ず
☆狂えねば五月の花を食いつくす
☆十人の男を呑んで九人吐く
☆こんないのちでよろしいならば風呂敷に
☆黙って黙って二匹の魚(うお)になるまでは
☆一つだけ言葉惜しめばまた逢える
☆ああと声漏らして一人 野には花
☆シャワー室 肉の落ちゆく音といる
☆愛咬やはるかはるかに桜散る
☆逢えば死にたし応えて頸が細くなる
☆どうぞあなたも孤独であってほしい雨
☆こいびとをねむらせ暗黒へ嫁ぐ
☆死のような快楽(けらく)覚えし洗い髪
☆去年いちばん愛らしかったのはおへそ
☆今ぞ今 死は生きること生きて死ぬこと
☆花に目を細め細めて男好き
☆テニスして妻抱くことは忘られよ
☆春あたらし男をちょいと遠ざけて
☆逢いたしと秋風(しゅうふう)に鈴吊しけり
☆ののしりの果ての身重ね 昼の闇
☆しずかなしずかなつまらない夜明け
☆不意に愛 男のような眉になる
☆ぞんぶんに人を泣かしめ粥うまし
☆人の世に許されざるは美しき
☆除籍入籍 椿ぽたぽた落ちる中
如何でしたか?
アナタの心に届いた句を教えてください。
これで句集「有夫恋」のご紹介を終わります。
お付き合い下さってありがとうございます。
最後に「あとがき」の一部を抜粋します。
・・・恋を恋し、人を恋し、やがてはげしく愛を求めるーーー青春の中で人々が自然にたどる道の辺の、小さな一花を摘むことも私には許されませんでした。なぜといって、すでに私は人の妻であり人の親であったからです。
有夫とは夫のあること、と辞書に出ておりました。ならば私の恋は、すべて有夫の恋。
この家の子を生み柱光らせて
私は何とかしてよい嫁になろうとしました。人の三倍は働き、人の十倍の忍耐を自分に課しました。しかし、私の中の執拗な人恋いはどうしようもありませんでした。なぐられても蹴られても、私は人を愛したい、人に愛されたいとねがったのです。・・・
<川柳返し>
☆夫(つま)寝かせ一人の居間でお茶タイム
by 長屋女王さま
☆花に水、女続ける妻に恋 by 絵美香編集長

