「江戸は川柳、京は軽口」下山山下

d0065324_8433646.jpg「江戸は川柳 京は軽口」 
下山山下(しもやま・やました)サン著 
1992.5 山手書房新社・刊  ¥1,600









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江戸における庶民文芸の一つ、川柳
ところが、京都には軽口頓作というものがあったことを、雨漏り、39年の人生で初めて知りました。
どちらも口語で書かれていて、基本的に、五・七・五調。
川柳が、言葉がキリッと締まった都会人的センスに溢れ、知的操作とか頭脳的表現でなされるのとは異なり、軽口頓作は、実にあけすけで、おおらかなユーモアが楽しめるもの・・・とされています。

♪これはこれは・つめたい足を夫(とと)どうぞ
♪よいものじゃ・つめたい足じゃかかゆるしゃ

床入りのまくらことがは冷たがり

『軽口頓作』は1709年の出版。江戸と違って、京都は少数のお公家さんや、お坊さん、武士以外はほとんどが町人。そういう商人や職人という町人階層の人たちが詠んだ句の中から、秀作、佳作を雲鼓!?という先生(宗匠)が選んで出来たのが、軽口頓作なんですね。


軽口頓作では、最初の五文字を先生が出題します。頭の五文字だから笠題といいますが、そのあとに応募者が七・五と付けるので、こういう形式の句を笠づけ、と呼ぶそうです。
一方、川柳は五七五全部を作者が作りますね。


♪大事ない・毛虫が留守じゃながうなれや
      (親をさして云也)
この句のように注釈がところどころあるのも軽口頓作の特色の一つです。
邪道かもしれませんが、形式ばらないのが身上でもあるんです。

甘キンらしく、お菓子の句をひとつご紹介します。
♪ぼた餅が嫁入(よめり)で親をはぎの花   ぼた餅は不美人の異称。持参金がたくさん必要。それで親の身を剥ぐ。
   ぼた餅すなわち、お萩、という意味を掛けています ww


ちょっとHなのを
♪身を入れてはたらく下女は両用い
    夜のお勤めも果たしている・・・
♪あんのじゃう・旦那の御作玉が腹
            (下女也)
    玉という下女の腹に旦那が作品を作った・・・

私が愛読している澤田ふじ子さんに「公事宿シリーズ」がありますが、公事の句も
♪麦めしの味もわすれた長い公事    麦めしを常食とする農村の人が、すっかり白米のご飯に慣れてしまうほど都会での長い裁判沙汰。

♪心きき勝栗もって公事見廻(みまい)
♪とんで出る・さあ勝公事のあとも見ず

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(苗を運ぶ百姓と早乙女)
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♪五月女(さおとめ)をうしろから見ておやす也
♪かしましや・こらえかねては田へつぶて
    稲の苗を植える女子を早乙女といって、それが数名横一列になって苗を植えながらバックしてくる。若々しいお尻が横一列になって、見ている若い男の目の前に迫ってくる。たまらなくなって可愛いお尻に石粒(つぶて)を投げる野郎もいれば、”反応”するやつもいる。




京童(わらんべ)、夫婦、子、どら息子・いろ娘、恋心・欲目流し目、金、仕事・商売・メシの種・・・・に分類して解説がなされています。
図版も多く載っています。

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(亭主の帰宅に逃げ出す間男)
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(息子を追い出す父親)
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(お姫様を慕う若衆)
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(若い妾に戯れるご隠居)
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「軽口頓作研究会」なるものがあって、著者も勿論メンバーの一人ですが、下山山下とはネ
京都の人かと思うと、さにあらず。群馬出身で現・千葉松戸市在住。しかも常盤平。ウチの長女一家と同じところじゃありませんか


特別投句  by みっちゃん
ついて出る・E区の聖いまもここあり         
(往年の師匠) 

”往年”とはなんじゃいな (怒)
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Commented by pinkcowgirl at 2007-03-09 13:07 x
著者の名前からして、へんてこな本をGetですね。
軽口頓作説明読まないと分からないのがほとんどーー
きっとこの本は男性用ダ。
日本語のユーモアも通じなくなってるみたいだしーー
アメリカのジョークも説明聞いても笑えないし。
日本人のコメデアンがニューヨークで受けているというNHKの番組をちょっと前に見ました。彼が素敵な女性を見たらウインクしたらと友人から言われ、彼の細い目がウインクしても分かってもらえないから、両手で目を開いて、ウインクするという話がアメリカ人の大うけーー日本人だから、嫌な思いした日を話の種にて、ねたが切れないと言う彼ーーこれも変な話と思いました。


Commented by loja-de-feliz at 2007-03-09 16:40
いつの時代も「金」と「エロ」は
興味をそそられるものなんでしょうね~
人間のサガですな(笑)
今、「中高生+有害サイト」問題が話題ですが、
そう思うと、この頃のものは、まだ可愛いもんですね^^;
Commented by revenouveau at 2007-03-09 19:20
軽口頓作は、京の町衆のたのしみのひとつだったのでしょうが、とり
わけて、露の五郎兵衛という辻噺をする方が有名だったそうです。
厳密には、ちがいますが、川柳と軽口頓作とは、江戸落語にたいする
上方落語との関係にニュアンスが似ているように思いますが、いかが
でしょうか。

ところで、軽口頓作の「笠づけ」ですが、じつは川柳にもおなじよう
に「笠づけ」の縛りをかけてたのしむ方法もあるんですよ。
ごぞんじのとおり、川柳は、点者としての柄井川柳が人気を博してい
たことから、その名がきています。
かれがおもに手がけたのは、「前句づけ」といって、五七五のうしろ
にくる七七をお題としてだし、そのまえにくる句を競いあうといった
ものでした。(ですから、こちらが主流になりました)
しかし、この川柳(そのころは「俳諧」と呼ばれていましたが)にも、
五七五のうちの上五をお題として指定する「笠づけ」の遊びもあった
わけです。(ちなみに、下五を指定することを「沓づけ」といいます)

それにしても、雨漏りさん、興味深い本を見つけてきますね。

                            さえら
Commented by みっちゃん at 2007-03-09 20:22 x
今日もサブかったです(・_・)ノ 以外にも・・・。薄着してたら風邪引きそう・・・
   > 雨漏り、39年の人生
・・・。(・_・)
♪ついて出る・E区の聖いまもここあり
         (往年の師匠)       ほほほ♪
Commented by ますちーママ at 2007-03-09 20:58 x
楽しませていただきました~♪
昔の殿方は趣きがあって楽しいですね☆

ぴゅーにコメントありがとうございました。無事帰宅出来て安心でした。
Commented by tmsay-612 at 2007-03-09 21:46
京の「軽口頓作」、初めて知りました。なかなか面白い・・・京都の奥ゆかしい趣とは違ったなかなか大胆な表現もあるのですね。

↓みたらしだんご、我が家で話題になったばかりでしたので、ちょっとびっくり!京都に修学旅行に行ってきた娘が、あんなに美味しいお団子は食べたことが無い!あんまり美味しかったから、もう東京ではお団子食べない、と宣言するほどでした!さすがにセンセイです、アップされていてびっくりです。今、横浜そごうでお店が出たいるようですので、買ってきます☆tmsay☆
Commented by amamori120 at 2007-03-09 22:32
>あや姐さん  レスが遅れました。
著者名は勿論ペンネームでしょうが、変わってますね ww
軽口も川柳も解説がないとわからなくなって来ています。
やはり川柳の方がヒネリがあったりして、より難しいようですね。
へんてこな本をご紹介して、すんまへん <(_ _)>

Commented by い~さん at 2007-03-09 22:33 x
おほ~
作者におもわず~笑ってしまいました~~

間男~妾~ 時代を感じますよね~(笑)
Commented by amamori120 at 2007-03-09 22:36
>felizさん  
普通の人間には、金と色という二欲はつきものですね ww
現実には深刻な問題ですが、それを笑い飛ばすのが、川柳であり軽口なんでしょうか?
Commented by amamori120 at 2007-03-09 22:45
>さ・え・らサン
ご指摘の通りだと拙も愚考いたしまする♪
また さえらメモ ありがとうございました。

今日から、森本哲郎「おくの細道を行く」という写文集を読み始めましたが、俳句の芸術性に浸るのも好みですが、川柳、軽口のような雑俳も
面白いと感じています ♪
Commented by amamori120 at 2007-03-09 22:55
>みっちゃん
昨日はマフラー不要でしたが、今日はカシミアマフラー要・・・どした。
伊達の薄着は、いくら5才でもあきまへんでぇ ww

39年間 ずうぅ~と、聖どした w

みっちゃんの軽口、本文に転記させて貰いまっせ♪
Commented by amamori120 at 2007-03-09 23:01
>ますちーお姉様
ほんの一部をご紹介しただけですが、たっぷり2時間楽しませて貰いましたヨ ♪

びゅーサン ご無事でご帰還ようございました♪
Commented by amamori120 at 2007-03-09 23:09
>tmsayさん
仰有るとおり、「京都の奥ゆかしい趣」とは大分違った感じです。
どちらかと言えば、大阪のもの・・・その方がピッタリきます。

亀屋粟義サンの団子、お嬢さん食されたのですね♪
是非、お試しあってしかるべしと存じます。
Commented by amamori120 at 2007-03-09 23:13
>いーさん
なかなか傑作な筆名ですね ww
中身の方が、より傑作でした♪

間男、妾  昔も今も、やる人はやるんですね ww
Commented by 磯野鱧男 at 2007-03-10 12:11 x
おもしろそうな本ですね。
川柳の最大派閥は大阪だったように気がします。田辺聖子の本を読んだ影響でしょうか……。

京都もその影響を受けないはずがないような気がしますが……。

時代が違うのでしょうか……。

どうなんでしょうか???
そのうち、調べたいと思います。
Commented by jsby at 2007-03-10 20:07
江戸の川柳に対し、京都の軽口頓作なるものの対比表現を楽しく拝見させていただきました。本音をやんわりとひねる京の手法にジョークの上手い日本人気質を感じました。京都というと古典的なイメージを描きがちですが、意外にも自由闊達な風土なのですね。
Commented by amamori120 at 2007-03-10 23:13
>鱧男宗匠 レスが遅れました。出勤でした。
田辺聖子さんは、時実新子さんを高く評価していますね。

何かわかったら教えてください♪
Commented by amamori120 at 2007-03-10 23:21
>jsbyさん レスが遅れました。土曜出勤でした。
澤田ふじ子さんを読んでおいてよかったと痛感しています。
庶民は、江戸も京都も、たいして変わらないようですヨ ww
Commented by みっちゃん at 2007-03-10 23:22 x
げっ!師匠! ・・・。(-_-。)いやぁ・・・ほんの軽口の・・
え?往年?(・_・)そんなこと書いたかちら? ほほほ
Commented by amamori120 at 2007-03-10 23:36
>みっちゃん
無断転記 すんまへん <(_ _)>

百歩譲って、往年(中学頃かな)も近年も聖どっせ ww
Commented by 絵美香 at 2007-03-11 19:11 x
こんばんは! ご無沙汰しちゃいましたー。 
庶民は江戸時代も今も変わらないですね。 
やっぱり「笑い」は庶民生活の中に有りって感じですね。 
川柳の勉強になりました。 また新作に挑戦します! 
Commented by amamori120 at 2007-03-11 19:32
>絵美香編集長
おいでを待ち兼ねておりました (^^)
やはり絵美香サンがいらっしゃらないと、この分野は納まりません♪
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by amamori120 | 2007-03-09 09:14 | 読後感・本の紹介 | Trackback | Comments(22)