澤田ふじ子「禁裏御付武士事件簿」シリーズ
2007年 03月 04日
澤田ふじ子「禁裏御付武士事件簿」これも京都を舞台とした人気シリーズの一つです。
「公事宿シリーズ」と同じく”捕物帖”の一種ですが、これまでのものと違うところは、町奉行所の同心(例:むっつり右門etc)や目明かし・岡っ引き(半七、銭形平次、黒門町の伝七etc)が主人公ではなくて、誰も採り上げなかった職種?の男達を登場させていることですね。



さて禁裏御付武士とは?
徳川幕府は、二代将軍秀忠の頃から、朝廷を内部から監視するため、忍びの技を持つ伊賀衆や根来衆を京に配置していた。
特命を帯びて、朝廷の内部に派遣された伊賀衆や根来衆たちは、京都所司代経由で、朝廷内部の出来事、公家の生活、京の町の様子を、江戸幕府に細かく報告していた。
幕府は、それらの情報によって対朝廷政策を立案していたのだ。
江戸幕府では彼らのことを「禁裏付き」と呼んでいたが、朝廷側では「御付武士」と言っていた。
主人公は、久隅平八という同心格の男。普段は六尺棒を持って仙洞御所の門番をしている。
出来るだけ、阿呆で呑気そうな顔で立ち番するのがコツ。ぼお~として、人の良い門番を装い、公家達の出入りをしっかり監視している。もとより忍びの技に長け、剣の達人でもある。
平八の任務は、禁裏御料地と公家の家領のいくつかを査察すること、京都所司代や町奉行の手先役となって洛中洛外の秩序維持に務め、併せて堂上公家たちの動きに目を配ること・・・の三つであった。
門で立ち番をする勤務が終わるとオフで、さぁゴルフでも行こう、なんてことはなく、色んな職業に身をやつして京の市中を見回って歩くのだ。これを「市歩き」と称している。平八は、奈良の薬売りに化けて、町中の情報を集めている。
そんな中で、「事件」を嗅ぎつけ密かに処理する仕事の記録が本シリーズなんです。
「公事宿」の菊太郎が、お信という佳い女子と公私ともに夫婦同然の仲であるように、平八も、四条高瀬川筋の旅籠「若狭屋」の娘・お菊と割ない仲になっていて、時に若狭屋の離れで体を重ねている。お菊の父・若狭屋弥兵衛公認の仲。
若狭屋は「市隠いちかくし」といって、使命を秘して市中に埋没し、やはり情報収集にあたるもので、平八は「市歩き」をするときは、ここを拠点にしている。いわば前進基地みたいな存在だ。だから平八と、お菊は一種のオフィス・ラブなんでしょうね。
一冊に、6~7篇所収。 このシリーズも完読しようと思っています。
by amamori120
| 2007-03-04 09:57
| 澤田ふじ子を読む

