澤田ふじ子「公事宿」シリーズ 1~6
2007年 02月 12日
澤田ふじ子 『公事宿』シリーズ
完読目指して頑張っています。
公事宿事件書留帳 1 闇の掟

公事宿事件書留帳 2 木戸の椿

公事宿事件書留帳 3 拷問蔵

公事宿事件書留帳 4 奈落の水

公事宿事件書留帳 5 背中の髑髏

公事宿事件書留帳 6 ひとでなし

公事宿とは、宿泊施設を備えた法律事務所のようなものですね。
江戸時代でも現代と同様、一般庶民にとって、訴訟手続きは面倒なものでした。
だから公事宿に依頼して裁判にかけたんですね。
また遠方からの客のために、宿泊施設を用意するのは当然のことでした。勿論賄い付きです。
江戸は馬食町、大坂は谷町、そして澤田サンの殆どの小説の舞台である京都は、二条城南の大宮通り界隈に固まっていました。
公事宿が扱うのは、主として<出入物(でいりもの)>つまり民事訴訟です。
原告が、目安(訴状)で相手を訴え、町奉行が相手を白州に呼び出して返答書を提出させ、対決(口頭弁論)と糾(ただしーー審理)を重ねた結果、裁許(判決)を下す・・・こういう流れなんですね。
これは素人には無理です。やはり司法に詳しい専門家に頼まなければなりません。
公事宿は必要なシステムでした。
なお、<吟味物(ぎんみもの)>といって刑事訴訟事件もありましたが、これも現代同様、町奉行が捕らえて(実際にはby目明かしや同心等)断罪するものです。
さて、『公事宿事件書留帳』は澤田サンの人気シリーズの一つで11巻以上出ています。
各巻には7篇ほどが所収されており、それぞれ独立した短編なのでどこからでも読めるんです。現に私は図書館のリサイクル本からgetした第9巻『悪い棺』(UP済み)が、本シリーズとの初見参で、次いで第6巻『ろくでなし』を読了していますが、やはり”時の流れ”というものがあり、主人公達も年齢を加えるし、人間関係も進化しているので、これはやはり最初から読まないといけないと思い幻冬舎文庫をまとめて手に取りました。
文庫本の帯でも分かりますが、NHK木曜時代劇で『新はんなり菊太郎』というのが放映されています。
『新』とあるように、二期目なんでしょうね。一期目のことは全く知りませんでしたし、二期目も、たまたま見かけて、あれっ、どこかで聞いたような話だなぁっと観ているうちに気がついた訳です。
しかし、主人公の田村菊太郎を内藤剛志さんが演ってますが、原作のイメージとは違っていて、「華麗なる一族」におけるキムタク同様、私には明らかなミスキャスト、二度と観ようとは思いません。
原作の菊太郎は、30前、色白でスラリとして一見公家に仕える青侍風。敢えて言えば、東山クンあたりが好ましいですね。内藤剛志さんにゃ悪いが、あんなに脂っぽくないし、もっと若々しい。それに、TVでは、三枚目風の演出になってましたが、実物はもっとクールでニヒル・・・です。
田村菊太郎は京・東町奉行所同心組頭の長男に生まれ、神童の名を恣に成長したが、自分が嫡出ではなく、堅い筈の父・次右衛門が茶屋の女に生ませたことを知るや、正しく生まれた弟・銕蔵に家督を継がせるため、放蕩を始め、諸国流浪の旅に出てしまう。
銕蔵が無事家督を継ぎ、同心組頭の仕事を立派にこなすようになった頃、菊太郎は京に戻り、父・次右衛門が世話をして開業させた公事宿・鯉屋の居候となった。
鯉屋の当主は二代目の源十郎、お店様(女房)のお多佳とともに、菊太郎には主従のように仕えている。だから居候とは言え、菊太郎は大威張りで悠々と暮らしているし、小遣いにも全く不自由はない。
この菊太郎、他人には居候だと称しているが、実質的には、腕のたつ顧問みたいな存在で、鯉屋に持ち込まれる公事で、通常の事務処理で済む案件には関与しないが、少しでも「おかしい」と感じられる事件には、自発的に、あるいは源十郎や銕蔵に懇望されてコミットするのが常だ。
類い希な推理力と、世間を見てきたために養われた人情の機微を見抜く目で以って、すべての事件を解決し続けるのだ。
その実績で、京都所司代や町奉行から高禄で召し抱えたいと言ってきても、にべもなく断る菊太郎だった。宮仕えを快しとしないタイプなんですね。
第1巻の初めの方には出て来ないが、徐々にチョイ役(料亭の仲居)で出てきて、そのうち名前も出るようになり、遂に菊太郎と恋人同士になるお信。お清という子持ちで前夫とは生き別れ、つまりバツイチ女です。彼女とはお互いに結婚する気持ちになるくらい深く愛し合っているのに、諸般の都合で、第6巻に至るも、まだ恋人なんです。
澤田サンの他の人気シリーズに久隅平八が主人公の『禁裏御付武士事件簿』というのがありますが、本シリーズにも協力者として、御付武士の赤松が時々客演します。
あと、公事宿・鯉屋の下代(番頭)・吉左衛門、手代の喜六、丁稚、小僧、下女などがレギュラーメンバーです。
江戸時代特有の事件もありますが、汚職・誘拐など現代の事件も巧みに同時代のもとして取り入れられています。いつの時代も”色と欲”は人間には付いて回るものなんですね。
完読するところまで、行くつもり・・・です。

