北原亜以子「まんがら茂平次」

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北原亜以子「まんがら茂平次」
1992.11 新潮社・刊 ¥1,500







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センミツというのは、タレントのせんだみつおサンのことじゃなくて、千のうち三つしか本当のことを言わない嘘吐きのことですね。
しからば、”まんがら”とは?
万のうち真実は、からっぽ→万から→まんがら  こうなる訳ですね。
センミツの真実率?は、3/1000=0.3%
しかるに、まんがらは、0/10000=0%  まるっきりの嘘つきなんですねww

神田鍛冶町の裏長屋に一人住まいの茂平次は、表紙の絵でも判るように「小柄で、色白で、少々太りぎみ、さがった眉と二重瞼の目に愛嬌があって・・・」 ついつい俳優の西田○行サンを思い浮かべてしまいます。

この男、定職には就かず、口先だけの働きで毎日の、おまんまにありついているんです。
周りの人間は、みんな彼のことを、まんがらと知っているのに、結局毎回騙されていますが、その嘘が、悪質な詐欺・かたりの類ではなく、彼が作り出した状況に彼自身が成りきってしまうため、その作り話を信じてしまう・・・こういう男なんです。まんがらが彼の職業だと公認されている・・・そんな愛すべき男なんでしょう。

色々な人物が登場します。
大志じゃなく小志くらいを抱いて板橋の蓮沼村から出てきたのはいいが、攘夷派の浪士に、訳が分からないうちに仲間にされ薩摩屋敷に連れ込まれた上、怖くなって逃げ出し、結局茂平次の家に転がり込んだ謙介。そして彼を在所から追っかけてきた”おいね”。

1500石の旗本の4男でありながら、やっとうの方は、からきしダメで、どうせ一生部屋住みと割り切り、遊芸を習って、得意の笛で、どこかのシアターのバンドマンのバイトをしている宗之介。彼を慕う柳橋芸者の”小ぎん”。

土方歳三の出身地の後輩で新撰組隊士だったが、志破れて脱走した金吾。ヒョンなことから彼と一緒に暮らすようになった清元の師匠”おゆう”。

5000石旗本の妾だったが、ご時世で暇を出された伯母と一緒に住む”お鈴”は先に行って茂平次と所帯を持つ女です。

その他、差配以下長屋住まいのみなさん。
江戸庶民のみなさん。
勝海舟以下幕府要路のみなさん。
西郷以下東征軍のみなさん  その他。

茂平次のような、ザ・庶民の連中が、激しい時代の波に飲み込まれたり流されたりしながら、バタバタと、したたかに生き抜いていくのを描いた小説です。フィクションと分かっているのに、ついつい引き込まれてしまうのは、登場人物がみんな生き生きしているからなんでしょうね♪
毎日の生活の中で様々なトラブルが起きますが、茂平次の、”まんがら”によって切り抜けて行くエピソードの数々、楽しめますよ。

時代背景は幕末。鳥羽伏見の戦いで幕府側が薩長に破れ、将軍慶喜は二条城から大阪城に移り、そして江戸へ逃げ帰ってしまう。
東征軍が江戸に迫り、勝海舟と西郷の話し合いで江戸は焦土と化さずに済んだが、まだ彰義隊の上野戦争で最後の小規模な抵抗が行われるもあっと言う間に踏みつぶされ、戦いの場は東北に移って行く・・・・・

公方様のお膝元で暮らしていた連中が、天朝様の世になったからといって、スムーズに頭の切り替えが出来る訳がなく、そのままの意識で明治と改元された世を迎える。

第二幕を予想させられる終わり方なので、上木されてるかどうか調べてみよう。
また、まんがら茂平次に会いたいから・・・




 
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Commented by 維真尽 at 2007-01-31 16:51 x
師匠の紹介を読んで、真っ先に 寅さんが浮かびました。
それから、つりキチ 西田さん
いつの時代にも 愛される 潤滑油 的 存在が いるんですよねぇ(笑)
その世界に入り込む
これがポイントですか?
確かに人のことは笑えなくて
いい方向に はまれば ↑ のように
愛されるべき人ですが
いまの世相では
逆にはまる人が こわい 世の中です
Commented by jsby at 2007-01-31 18:32
「まんがら茂平次」の解説を拝見して、韓国ドラマ「チャングムの誓い」のカン・ドッグを思い出してしまいました。こんな風に、人の心に潤いを与えてくれる人って魅力的だなと思います。私も西田敏行さんの大ファンです。
Commented by ninuckey2 at 2007-01-31 20:21
この本、読みました~♪ 友達が北原亜以子さんファンなんです。
師匠の仰るとおり、生き生きとした登場人物と激動の時代背景で、
楽しく読めた一冊でした。
私も、またチャーミングなまんがら茂平次に会いたいなぁ^^
Commented by ハッチ at 2007-01-31 21:14 x
>スムーズに頭の切り替えが出来る訳がなく、
>そのままの意識で明治と改元された世を迎える
ちょっと距離があるときは、自分に余裕があるときは、
愛すべき人と思えるのですけれど、家族の場合は、
大変でもありまして・・・
戦後の価値観が受け入れられず
明治で押し通して百歳を過ぎた伯母(4歳からの養母)
いろいろありましたねぇ・・・
でも、笑えない現実があるからこそ、
笑って楽しまなくてはですよねぇ~
Commented by みっちゃん at 2007-01-31 22:24 x
センミツ・・・あんみつ・・・・まんがら・・・じょんがら・・
(・_・)ど~して、全然関係ないこと想像しちゃうんだろう・・・・
しかも、そっからドンドン関係ないこと想像しちゃうこの性格って・・・最近時代小説流行で、どこの書店でもコーナー拡大ですね♪
Commented by usayamama at 2007-01-31 23:14
頭の中が西田さんでいっぱいになってしまいました(笑)

江戸庶民のみなさん。
勝海舟以下幕府要路のみなさん。
西郷以下東征軍のみなさん  その他。
私の大好物だらけ〜。早速チェックしてみます。
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:24
>維真尽さんの反応、正しいと思います。
思えば、単純だった当時の人々の方が、貧しくとも、ゆとりを持って暮らしていたのでは? 
Commented by tmsay-612 at 2007-01-31 23:27
やっと、日本史を本格的に勉強して、そして、ここ2~3年大河ドラマなどを興味を持って見るようになった娘が、先日ポツリと「ママ~結局昔も今も人間の生き方はあんまり変わっていないね。」と言いいました。
ちょんまげを結っていても、パソコンをたたいていても、いつの世にも、どこかで会ったようなどこかで遭遇したような人やできごとってあるのでしょう。
そんな事、感じるお話ですね。でも・・・寛大な心を持ち合わせていない私は・・・まんがらさんには会いたくないなあ・・・☆tmsay☆
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:33
>jsbyさん チャングムは観てないのですが、茂平次は調子よくて、しかも自分の食い扶持は稼ぐ・・・そういう個性の野郎です ww
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:34
>にぬさん   続きを読みたくて、調べようと思っています。
今日は北原サンの別のを読み始めました♪
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:41
>ハッチさん  まぁ あり得ないような設定ですから、小説の中の人間の動きだけをたのしめば良い・・・そんな感じで読みました♪
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:47
>みっちゃん   昔、連想ゲームってのをTVでやってたとパパから聞きました ww  これに出れば、みっちゃん 毎週優勝ですね♪
たしかに時代物のスペースが広くなってますね。結構なことどす♪
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:50
>usayamamaさん好みの人物、時代背景、暮らしぶり等お楽しみ頂けると思います。 是非ご一読を!  文庫でも出ています。
Commented by amamori120 at 2007-01-31 23:54
> tmsay-612さん 貴・お嬢さま、わかっていらっしゃるようですね。
さすがtmsayさんのお血筋です ♪
まぁ そんなこと仰有らず、まんがらに引っかかってみましょうよ ww
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by amamori120 | 2007-01-31 09:21 | 時代小説を読む | Trackback | Comments(14)