時実新子 「有夫恋」 2 逃亡のアクセル

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「有夫恋(ゆうふれん)」  おっとあるおんなのこい 
 1987・12 朝日新聞社・刊  ¥1,030


<逃亡のアクセル>



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時実新子 (ときざね・しんこ)  本名 大野恵美子
          1929年 岡山市生まれ
          1945年 岡山県立西大寺高女卒
          1946年 姫路市へ嫁ぐ(17才)
          1947年 長女誕生(18才)
          1951年 長男誕生(22才)
          1985年 夫死亡
          1987年 曽我碌郎と結婚(58才)

<逃亡のアクセル 1961~65 >

☆狂犬の如く水呑む日がありぬ

☆蛇の皮たけのこの皮わたしの死

☆恋い成れり四時には四時の汽車が出る

☆五月闇生みたい人の子を生まず

☆放心は隠しおおせし夕の膳

☆欲望はダリの絵となる部屋を閉ず

☆うつむいて歩くと神の毛臑見え

☆百合みだら五つひらいてみなみだら

☆ねじ伏せる荒き手を待つ夜もありぬ

☆灯の下に夫の手をおそれ

☆裁ち鋏シャリシャリと人を忘れたく

☆三十をいくつ過ぎたと父が訊く

☆口中に果実の匂い恋は果つ

☆男の肩をゆする哀しや愚かしや

☆妊りを拒む真深い闇の底

☆風呂に水張って女に野望あり

☆てのひらで豆腐を切って思慕を断つ

☆背信の夜明けの闇のその重さ

☆包丁で指切るほどに逢いたいか

☆はずむ日の猫ぎゅっと抱きぎゅっと抱き

☆靴の紐 男の帰心見ていたり

☆くずされし髪を束(つか)ねて母となる

☆この夫を愛そうとした昔 今

☆あばかれる墓わが句帳夫の手に

☆指が告白をしそうで握りしめ

☆夫が眠れば醒める鳥あり胸の奥

☆寒いから寒いと言ったっきり 夫婦

☆泡消える 泡のようなる愛欲す

☆逃亡のアクセル踏まれ燃える曇天




如何でしたか?
アナタの心に届いた句を教えてください。

有夫恋 1 背信の汽車

川柳返し   ありがとうございます。

・愛の四季 盛夏の頃で 赤信号
・姓変わる 日を夢見て 爪を噛む   by jsbyさん
by amamori120 | 2007-01-23 09:39 | 時実新子「有夫恋」