時実新子 「有夫恋」 2 逃亡のアクセル
2007年 01月 23日「有夫恋(ゆうふれん)」 おっとあるおんなのこい
1987・12 朝日新聞社・刊 ¥1,030
<逃亡のアクセル>
時実新子 (ときざね・しんこ) 本名 大野恵美子
1929年 岡山市生まれ
1945年 岡山県立西大寺高女卒
1946年 姫路市へ嫁ぐ(17才)
1947年 長女誕生(18才)
1951年 長男誕生(22才)
1985年 夫死亡
1987年 曽我碌郎と結婚(58才)
<逃亡のアクセル 1961~65 >
☆狂犬の如く水呑む日がありぬ
☆蛇の皮たけのこの皮わたしの死
☆恋い成れり四時には四時の汽車が出る
☆五月闇生みたい人の子を生まず
☆放心は隠しおおせし夕の膳
☆欲望はダリの絵となる部屋を閉ず
☆うつむいて歩くと神の毛臑見え
☆百合みだら五つひらいてみなみだら
☆ねじ伏せる荒き手を待つ夜もありぬ
☆灯の下に夫の手をおそれ
☆裁ち鋏シャリシャリと人を忘れたく
☆三十をいくつ過ぎたと父が訊く
☆口中に果実の匂い恋は果つ
☆男の肩をゆする哀しや愚かしや
☆妊りを拒む真深い闇の底
☆風呂に水張って女に野望あり
☆てのひらで豆腐を切って思慕を断つ
☆背信の夜明けの闇のその重さ
☆包丁で指切るほどに逢いたいか
☆はずむ日の猫ぎゅっと抱きぎゅっと抱き
☆靴の紐 男の帰心見ていたり
☆くずされし髪を束(つか)ねて母となる
☆この夫を愛そうとした昔 今
☆あばかれる墓わが句帳夫の手に
☆指が告白をしそうで握りしめ
☆夫が眠れば醒める鳥あり胸の奥
☆寒いから寒いと言ったっきり 夫婦
☆泡消える 泡のようなる愛欲す
☆逃亡のアクセル踏まれ燃える曇天
如何でしたか?
アナタの心に届いた句を教えてください。
有夫恋 1 背信の汽車
川柳返し ありがとうございます。
・愛の四季 盛夏の頃で 赤信号
・姓変わる 日を夢見て 爪を噛む by jsbyさん