時実新子 「有夫恋」 1 背信の汽車
2007年 01月 15日
「有夫恋(ゆうふれん)」 おっとあるおんなのこい
1987・12 朝日新聞社・刊 ¥1,030
(次回は、内舘牧子「妻の恋」UPします)
<背信の汽車>

時実新子 (ときざね・しんこ) 本名 大野恵美子
1929年 岡山市生まれ
1945年 岡山県立西大寺高女卒
1946年 姫路市へ嫁ぐ(17才)
1947年 長女誕生(18才)
1951年 長男誕生(22才)
1985年 夫死亡
1987年 曽我碌郎と結婚(58才)
彼女の作品は、まるで一行詩みたいですが、あくまで川柳なんですね。
柳界の与謝野晶子と言われ異端視されたこともあったそうですが、研鑽を積んで色んな賞に輝き、多くの雑誌で選者として活躍されているそうです。
<背信の汽車 1955~60) >
☆しあわせを話すと友の瞳(め)が光る
☆晶子曼陀羅子らの寝顔に責められる
☆爪を切る時にも思う人のあり
☆心奪われ阿呆のような日が流れ
☆箸重ねて洗う縁(えにし)をふと思う
☆人は言う簡単に言う邪恋の名
☆慕われているしあわせの髪を梳き
☆柚子しぼる女の生命(いのち)ふと感じ
☆年の差を思う夜道は石ばかり
☆子を寝かせやっと私の私なり
☆孤独ではないけど 海へ石を投げ
☆誰も見ぬ部屋に心をさらけだし
☆熱の舌しびれるように人を恋う
☆われに棲む女をうとむ夜が来る
☆力の限り男をほふる鐘を打つ
☆母で妻で女で人間のわたくし
☆ぬけがらの私が妻という演技
☆狂う眼はこうか鏡に訊いてみる
☆主婦という名の腕時計何度見る
☆触れ合えば即ち罪となる指の
☆十七の花嫁なりし有夫恋
☆この家の子を生み柱光らせて
☆たかぶりを人には告げず物を煮る
☆憎いその腕(かいな)の中で敗けてゆく
☆自らを削るほかなき思慕である
☆去ってゆく足に乱れのない憎さ
☆耳の形が思い出せない好きなひと
☆足裏に火を踏む恋のまっしぐら
☆茶碗伏せたように黙っている夫
☆凶暴な愛がほしいの煙突よ
如何でしたか?
アナタの心に届いた句を教えてください。
尚、本シリーズ6回ばかり続きます。
by amamori120
| 2007-01-15 23:31
| 時実新子「有夫恋」

