付き馬屋おえん 他

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我がブロ友さんは、良家の奥様やお嬢様が多いので、あまり時代小説を読まれないと思いますが・・・・・






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南原幹雄 「付き馬屋おえん おんな三十六景」1997.7 双葉社・刊  ¥1,840

付き馬(付け馬)ってご存じでしょうか?
遊郭などで、勘定が足りなくなった遊客の家まで付いて行って、残金を取り立てる人(仕事)ですね。
大概は、遊郭の店の若い者がやるんですが、これを業として仕事にしている店があったそうです。
それが、(付き)馬屋ですね。

おえんは、浅草田町の馬屋・弁天屋の一人娘だが、父親亡き後、女だてらに馬屋を切り回している。

花魁の肌に刺青を入れ、居続ける刺青師の数百両をとりたてたり、大阪から回って来た債権の取り立てに苦労したりという本来の業務の他に、人捜しや色んなトラブルの解決を吉原の遊郭から頼まれて奔走する、付き馬屋おえんと弁天屋一家の活躍を描く。
表題作は、かの葛飾北斎が、身を粉にして描きあげた吉原No.1の花魁の性愛シーン三十六景の一世一代の原画が、完成パーティの席で、版木と共に消えてしまうという事件を語ったもの。
浮世絵というと絵師だけの名が残っているんですが、彫り師、刷り師との協力が絶対不可欠なんだ、ということが判りました。

江戸時代の市井の人々を興味深く描いています。


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逢坂剛「猿曳遁兵衛 重蔵始末3」 2004.3 講談社・刊 ¥1,785

火盗改め加役の松平左金吾が役を解かれ、重蔵も元の組に戻って御門警固の仕事に就いた。しかし、左金吾の後任太田運八郎に呼び戻され再び火盗改め与力に戻った。この辺りは、史実に沿っていますね。
突っ転がし、鶴殺し、表題作の猿曳遁兵衛、盤石の無念、簪  5篇を所収。
表紙にある仇な姐さんは音若といって常磐津の師匠で重蔵の恋人だが、「簪」の中で宿敵の女盗りよの手にかかってしまう。



逢坂剛「嫁盗み 重蔵始末4」 2006.3 講談社・刊 ¥1,890

史実通り、重蔵は、長崎奉行手付出役に任ぜられて長崎に転勤する。
紅毛の人、異国の風、密通、嫁盗み、さんちもさからめんと、聞く耳を持たず  6篇所収。
唯一の外国との接点だけあって、長崎では、抜け荷(密貿易)の摘発や切支丹の取り締まりに忙殺される。
オランダ商館長との交渉も任務のひとつ。表紙は商館長ですね。
幕末とあって、薩摩藩も活発な動きを見せ、それとの対応にも追われる重蔵の大活躍を描きます。

「重蔵始末」
「じぶくり伝兵衛 重蔵始末2」

近藤重蔵(1771~1829) 江戸後期の旗本。探検家。町与力・近藤右膳守次男。1790(寛政2)家を継いで先手与力を命ぜられ、長崎奉行手付出役、支配勘定方を経て関東郡代付出役となった。書物奉行、大坂弓奉行を歴任。北方ロシア人対策について献策するところがあり。1798松前蝦夷地御用となり蝦夷地に渡ること四度。最上徳内の案内で千島列島や利尻島を探検した。択捉島に「大日本恵土呂符」の標識を建てた。




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宇江佐真理 「幻の声 髪結い伊三次捕物余話」1997.4 文藝春秋・刊 ¥1,600


髪結いの伊三次は、店を構えている床屋ではなくて、お得意先(丁場)を毎日回って歩く、いわば訪問床屋である。当時は、髷を結っていたので毎日決まった時間に訪問して、髭をあたったり髷を結ったりする生業だった。そんなお得意の一人に八丁堀同心不破友之進がいて、伊三次はその小者(手先)も勤めている。

サブタイトルにもあるように、余話なので、捕り物がメインテーマではなくて、いくつかの事件をこなしながら、伊三次自らの、また事件関係者の人情話が語られる。
例えば伊三次の恋人で”深川”芸者をやっている文吉(お文)との交情など、濡れ場を含めて、しっとりとした筆致で描かれている。
当時は、”株”がないと髪結いの店が持てなかった。伊三次は、こつこつと働きながらその資金ー100両目指して貯金をしているものだから、文吉から所帯を持とうと謎をかけられても応えることができないでいる。

幻の声(第75回オール読み物新人賞 平成7年)、暁の雲、赤い闇、備後表、星の降る夜 5篇を収録。
幻の声 では、酒が飲めないかわりに甘い物には目のない伊三次(誰かさんみたい ww)の為に、お文が菓子屋の口上を声色を使ってからかうシーンが実に好ましい♪

『おらんだ羊羹、本羊羹、最中、饅頭に羽二重餅、いまさか渦巻き、鹿子餅、ぎゅうまん、葛餅、葛饅頭、かすてら、紅梅、あさじもち、南京ざくら、水仙巻、ちゅうか、いがもち、鶯餅、薄雪饅頭にあべ川もち、のどの奧までひょこ、ひょこするのが山椒もち、あさじ野うろこ、狸餅、砧のちょいと巻、あんころもち・・・・てな具合よ』

これは甘キンとしては実に興味深い記述ですが、勉強不足で分からないアイテムがいくつかあります。永山久夫サンか中山圭子さん辺りに訊けば解るかな?
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Commented by 維真尽 at 2006-12-16 14:50 x
性愛シーン三十六景
どんなんでしょうか
艶のあるものなんでしょうねぇ
Commented by ますちーママ at 2006-12-16 18:15 x
おこんばんは~☆
すごーく色っぽいお話ですね~☆
遊郭・・もし私が男に生まれたなら是非お邪魔したいですわン♪
Commented by amamori120 at 2006-12-16 18:32
>維真尽さん  我々が日本美術史で習う浮世絵には、もとよりこんなものは言及されませんが、当時は普通に売ってたそうです。
一度、見たいものですね。
Commented by amamori120 at 2006-12-16 18:37
>ますちーお姉様 こんばんHA。
色気がなくなったら、この人生、つまらないものになってしまいますね。
吉原では、持ってる金の多寡に応じて、色んなランクの店があったようです。 だから豪商から日雇いまで、それぞれに楽しめたんですね。

次は、江戸時代の男に生まれ変わるといいですね ww
Commented by jsby at 2006-12-16 21:02
江戸時代にも、その時代のニーズを読んで商売にしてしまう人が多くいたということですね。そんな庶民の日常がいきいきと描かれていて、なかなか楽しい作品集に心惹かれます。
Commented by amamori120 at 2006-12-16 21:10
>jsbyさん  まぁ抜け目のない人間は、いつの世にもいるものですが
頭か体を使わないと普通の人は生活できなかったんですが、暗黒時代かというとそうでもなかったみたいで、時代小説の楽しみ方も色々です♪
Commented by みっちゃん at 2006-12-16 22:59 x
付き馬屋おえんって、確か山本陽子がTVでやってなかったっけ???(・_・)
この表紙がステキぃ~♪ 雰囲気出てますぅ~
いえ、なに・・・昨日の表紙もステキだわよ♪ ほほほ
Commented by amamori120 at 2006-12-16 23:32
>みっちゃん  そうそうTVでやってましたな。
昨日の表紙の方がステキでしょ? 雨漏り好み・・ちゃいます ww
Commented by usayamama at 2006-12-16 23:52
>良家のお嬢様
私の事かしら?(嘘です)
花魁、遊郭、髪結いなどの単語を聞くだけで
テンション上がってしまいます。
時代モノは江戸時代限定で好きです。
「付き馬屋おえん おんな三十六景」興味深いです。
Commented by amamori120 at 2006-12-17 18:36
>usayamamaさん
そうです、ザ江戸 が味わえる小説ですよ♪

良家のお嬢様と思っています。
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by amamori120 | 2006-12-16 12:03 | 時代小説を読む | Trackback | Comments(10)