
1994.10 柏書房・刊 ¥1,800
赤瀬川原平サン、別名・尾辻克彦サンとして『父が消えた』で1981年に芥川賞を受賞されています。
本物の猫だけじゃなくて、赤瀬川家にいつの間にか貯まっていた置物が、色んなシーンに登場して楽しませてくれます。

『超芸術トマソン』や『東京路上探検記』で街歩きはお手のもの。シチュエイションの設定も実に巧みです。
世に猫の写真集あまたあれど、これほどユニークなものは他に知りません。
”トマソン階段へようこそ” しかし、こんな所で招いてどうする。本郷。

”萌える廃墟” 友だちにもらったマレーシアのお土産。東京の空き地が一瞬に東南アジアだ。高円寺。

”ばらけている” 山の手のさるお屋敷の塀の上。死体かと思ったが、動いた。麻布。

”伸び猫” 日陰の鉄錆は、苔の感触に似ている。月島。

”植木林” 背景にコンクリート山脈。月島。

”井戸、バケツ、ぼく、魚” ぼくは偉大なる井戸ポンプ様を信頼している。月島。

”赤猫の術” 晴天下だって雷は落とせる。本郷。

”アバンギャルド猫” 君たちにはわかるまい。築地。

”紐猫” 向島、川之江、西片町、上野。

”椿山荘の裏壁” たんに色合いがよかった。「たんに」は時として重要である。江戸川橋。

”愛想を振りまいて五十年(推定)” 人間はこういうものを食べている。阿佐ヶ谷。

”べべんべんべん” こんな所に三味線堀が。この窓の形は何か。じつはブータン。

"ゴッホの色” お昼を食べた山道のレストラン。ブータンの動物の神話を描いたペンキ絵。ちゃっかり日本の招き猫も参加。

”ブータンの道標” 日光の眠り猫はどこでも眠る。

”瞑想ぎょろ眼猫” 仙境によく似合う。上海路上で買った毛皮の手作り猫だ。江戸川橋。

”何を考えているか” ちゃんとシンメトリーを考えている。雑司ヶ谷・鬼子母神。

”ネコリンピック” 話は違うが、いずれ雑草は地上の二点間を直線状に伸びてつながる。高円寺。

”上に乗りたがる” 勉強の邪魔をしちゃいかん。月島。
文学者の感性で作られた猫の写真集、如何でしたか?
一部をご紹介するにとどめましたが、気持ちは、全部お見せしたいくらい、傑作揃いです♪