逢坂 剛 「じぶくり伝兵衛」

2002.9  講談社・刊  ¥1,785
近藤重蔵ってご存じかな?  日本史で習いましたネ




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近藤重蔵(1771~1829) 江戸後期の旗本。探検家。町与力・近藤右膳守次男。1790(寛政2)家を継いで先手与力を命ぜられ、長崎奉行手付出役、支配勘定方を経て関東郡代付出役となった。書物奉行、大坂弓奉行を歴任。北方ロシア人対策について献策するところがあり。1798松前蝦夷地御用となり蝦夷地に渡ること四度。最上徳内の案内で千島列島や利尻島を探検した。択捉島に「大日本恵土呂符」の標識を建てた。

「重蔵始末」に続くシリーズ第二弾。図書館のリサイクルでgetしたので第二弾が先になってしまいました。
近藤重蔵の略歴を、人名辞典からの引用で紹介した中で、「先手与力を命ぜられ」た期間の活躍を描いたのが本書です。
私は『カディスの赤い星』以来の逢坂剛ファンで、my書棚には、彼の本が20冊以上あります。
ご存じの方はご存じのように、スペイン物が得意な人ですね。
『イベリアの雷鳴』『ハポン追跡』『スペイン灼熱の午後』などがそうです。

作家も商売ですから、商品の幅を広げようと思ったのか、時代小説にも手を染めだしたんですね。
パッと思いつくだけで、時代小説に進出した作家では北方謙三、佐伯泰英、門田泰明、森村誠一サンたちがいます。他にもいる筈です。

知らぬ者とてなき池波正太郎の『鬼平犯科帳』。火盗改め長谷川平蔵シリーズがありますが、この長谷川組とは別に、松平左金吾組というのがあり、近藤重蔵は、この組の与力なんです。中間管理職なんですが、デスクに座っているだけの管理職じゃなく、自ら刀を振るったりするプレーイング・マネージャーですね。
鬼平と左金吾について著者はこんな描写をしています。
松平左金吾は、越中守(松平定信)の遠い親戚にあたるのを鼻に掛け、何かにつけて越中さま、越中さまと、のべつ引き合いに出すため必ずしも評判がよくないと聞く。
市中でも、下情に通じた人情味豊かな長谷川平蔵に比べて、杓子定規で冷徹な左金吾に対する人気はほとんどないといってもよい。

というような訳なんですが、本書では重蔵、並外れた推理力と行動力で五つの事件を、見事に、誰もが納得するやり方で解決するのです。

吉岡佐市の面目
吹上繚乱
じぶくり伝兵衛
火札小僧
星買い六助    を収録。 お得意のネタバレ、我慢します ww

第一弾 『重蔵始末』も読まねばっ!
by amamori120 | 2006-09-23 00:19 | 時代小説を読む