悪い棺 澤田ふじ子
2006年 05月 24日
御所八幡町の米屋・松野屋から出た立派な葬列の、金襴をかぶせられた、お棺にいきなり石が投げつけられた。最初に投げたのは修平という小童。あとにばらばらと見物人の中から投石が続いた・・・
表題作の「悪い棺」以下、釣瓶の髪、人喰みの店、黒猫の婆、お婆の定法、冬の蝶 6篇所収。
サブタイトルが《公事宿事件書留帳》
公事宿とは、宿泊施設付きの弁護士事務所みたいな存在です。
公事とは、訴訟、裁判のことですね。
これは公事宿「鯉屋」が関わった色々な事件を中心に京都の市井の人々を描いたシリーズ物で本書が9冊目だそうです。
主演は、京都東町奉行所同心組頭の家の長男に生まれながら、妾腹だったため、嫡出の腹違いの弟に家督を譲ろうとして出奔した過去を持つ田村菊太郎で、公事宿「鯉屋」に、大威張りで居候しながら数々の事件を解決していきます。
事件といっても、本書に限っては、刑事より民事の方が圧倒的に多いようです。
「鯉屋」の構成メンバーは、主人が源十郎、女房のお多佳は、お店(たな)様と呼ばれる。下代(げだい)--番頭の吉左衛門、手代の喜六、丁稚の正太、鶴太、小女のお与根がいます。
菊太郎の腹違いの弟で、京都東町奉行所同心組頭の田村銕蔵や部下の同心達数名もレギュラーメンバーです。
お信という、関係者公認の、菊太郎の恋人も出ます。夫に蒸発され料理屋で仲居をしながら一人娘の、お清を育てています。菊太郎も時々、お信の長屋に泊まりに行ってます。
なんとなく平岩弓枝サンの「御宿かわせみ」を連想させられますね。
ただ「かわせみ」が、陰惨な、殺伐とした事件が多い印象を持つのに対して、こちらの方は、殺人事件など起きないし、あくまで民間レベルで解決できる事件を扱っている・・・という違いがあります。
いずれも見事なハッピーエンドになる解決の仕方。第1巻~8巻も読みたくなりました。

