「世界お菓子紀行」 森枝卓士

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1995.6 ちくま文庫・刊 ¥780  06.5.7 了

大森由紀子「フランスお菓子紀行」とか吉田菊次郎「ヨーロッパお菓子漫遊記」みたいな、内容を期待しないでもなかったのですが、、その意味では、殆ど裏切られました。




つまり、パリの○○店の△△は、ああだとか、オランダの□は、こうだとか、ブリュッセルの☆は、どうだとか・・・こういう記述は一切ありません。
お菓子そのものの文化的位置づけというのか、お菓子比較文化論というのか、とにかくそういう内容です。
甘いお菓子を扱いながら、随所にピリッと辛い文明論、文化論が出て来るのが印象的です。
例えば、「甘さは人間の味覚の中で、プラスの価値観の代表であり、その植物のもたらす糖分の味覚を、知恵の限りを尽くしていったものが菓子ではないか・・・」
「食の文化が花開いているところにこそ、豊かなお菓子の文化もある。お菓子の豊かさは、食文化の豊かさを象徴しているともいえる。」
これなんかアフリカ諸国が該当するようですね。
ただ、絢爛たる中華料理の本家、現代中国の菓子事情にも言及していますが、著者はそのあまりのお粗末ぶりには驚いています。
国営の工場で、やる気のない従業員が、嫌々作った画一的な、種類の少ないお菓子が、、大都市のデパートなどで売られているに過ぎないという事実は、この命題には反するような気がしますが・・・
饅頭等中国から伝えられたお菓子(唐菓子)も多いのに、本家の、このていたらくを余所に、分家の日本の菓子の繁栄ぶり!本家、しっかりしろっと言いたいですね。

「お菓子とは何ぞや?」という事に興味ある人、必読の書です。


なお、著者は、食い物エッセイで食ってる人ですね。
my書棚に、こんなのがありました。
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by amamori120 | 2006-05-08 23:52 | 甘党キングダム(書籍等)