「しゃばけ」 畠中 恵
2006年 05月 02日
先日UPした「ぬしさまへ」に先行する長編で、2001年度の第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しています。
やはり日本橋の豪商、長崎屋の跡取り息子一太郎が主役です。
薬種屋(当時の薬屋は、自分で薬研などを使って製薬・調合をしていたようです。当然、生薬のニオイが体に染みついています。← 大ヒント)ばかりを狙った連続殺人事件が起き、一太郎も長崎屋の店内で襲われます。幼なじみの、菓子屋の倅、栄吉も一太郎に間違われて切られます。
《器物》も百年を経ると付喪神(つくもがみ・・妖の一種)になるのですが、もう少しのところで、なり損なった”墨壺(大工道具の一つ、マーキングに使う・・・雨漏り注)が、本物の付喪神になれる奇跡の一服・・・を求めて薬臭い人間達を殺しまくっているのです。
そしてついに、一太郎と、仁吉・佐助(彼らも上席の妖なんです。)versus ”なり損ね”との対決の日がやって来た。
「ぬしさまへ」と同様、やはりお菓子の記述が多いです。335Pの文庫本で、約1割のPに出てきます。例えば、(清七親分)最近手元不如意で菓子の類は慎んでいたので、鷹揚に鉢に盛られた茶饅頭が嬉しかった・・・
「ぬしさまへ」では、求肥、宗及餅、薯蕷(じょうよ)饅頭等の”専門用語”が出てきますが、本書では、大坂津の清の岩おこし他が出てきます。
それと驚いたことが一つ。UP済みのぬしさまへの中で記したように、極めて病弱な一太郎が「安楽椅子探偵」と「なめくじ長屋のセンセイ(都筑道夫の傑作シリーズ)」を兼ねたような・・・・・とナニゲに書いたのですが、本書の著者略歴を見ると、「都筑道夫の小説講座に通って作家を目指し云々」とあるではありませんか! やっぱりね。

