亀井千歩子 「日本の菓子」

d0065324_20211986.jpg
1996.8 東京書籍・刊  ¥1,500  06.1.18 読了

こういう本の常道として、先ず「日本の菓子のルーツ」を探ります。
そこでは日本の菓祖として、田道間守命(たじまもりのみこと)が必ず言及されますね。そして「日本の聖なる菓子」として、シトギ、餅、焼き米と糒(ほしいい=干し飯)、飴について実に精しい考証がなされます。

次ぎに「人間の生活と菓子」とは密接な関わりを持ってきた訳ですが、所謂「年中行事と菓子」についての論考があります。
年中行事=晴の日=非日常ですね。年中行事と同様に使われる言葉に、歳時、歳事、時令、月令というのがあります。
また、晴の日を「節」といい「節会(せちえ)」「節供(せっく)」「節日」ということも古くから知られていたようです。

正月行事としては「歯固め」という、平安時代の朝廷で元日から三日間、長寿延命を願って固い餅を食べる儀式が行われたようですが、これに由来するのが、以前UPした「花びら餅」です。明治中期に、京都の菓子司・川端道喜が売り出して一般化しました。
切り山椒」も新年のお菓子です。これは上新粉に砂糖と山椒の香りを搗きこんだ、しんこ餅。 蒸かしてあります。
金澤では、旧藩主前田公の紋所の梅鉢のお菓子を食べて新年を祝う習わしがあるそうです。「福梅」という銘だそうです。・・・・・
こういう内容で、雛の節供、端午の節供、麦の正月、仏教の各行事等に、日本各地で食べられるお菓子が詳述されます。
<秩父宮家では、ぼた餅のことを、”おやわやわ”と呼ぶそうです。>

また「人間の一生」も、お菓子抜きでは語れませんね。
「婚礼」を祝う菓子も、日本全国各地で独特のものが食べられているようです。
つぎに、安産と子供の健やかな成長を願うお菓子があります。
加賀の「ころころ団子」は安産の祈願が込められています。
九州で「飴がた」と呼ぶ方形の白い飴は、乳の出をよくしたり、産後の回復を早めたりするそうです。
全国各地にこの風習が残っているようです。
阪神地区では、娘が一人前になる「初潮祝い」を行う習わしが各地にあり、ぜんざいを炊いて祝うこともあるそうです。
また、我が国の風習として、死者が出るとすぐに枕団子や枕飯が供えられてきました。葬式には「葬式饅頭」がありますね。アイヌにも葬式団子があったそうです。

最後に、「信仰と菓子」というテーマで各地の神社仏閣と菓子の具体例が挙げられています。
小野妹子の里に伝わる小野神社(滋賀県志賀町)のシトギ祭り、大阪住吉大社の「土団子」。千葉香取神宮の「真菰行器(まこもほかい)」と「団碁祭り」、岐阜白山神社の「菓子盛り」等。
また、「お供え菓子」の色々としては、京都今宮神社のあぶり。八坂神社の稚児餅。上御霊神社の唐板。歓喜天つまり聖天(しょうでん)さんに供えられる清浄御団・清浄歓喜団。下鴨神社の夏越の祓いに供えた、みたらし団子。松尾大社の御覧餅。大阪天満宮の菅原道真の命日用のくじらとくじら羹。法隆寺の聖徳太子に供える菓子・・・・・・

本書は、サブタイトルにもあるように『祈りと感謝と厄除け』という切り口から日本の菓子を捉えた労作と言えるでしょう。
トラックバックURL : https://amamori.exblog.jp/tb/2577135
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by bh2005k at 2006-01-23 23:51
こんばんは!
お出かけ下さいまして、ありがとうございました。
そうなんですよ・・・CHIBAです。この地に25年になります。

さて、暮に金沢の友人から≪福梅≫を いただきました。お正月用のお菓子と教えてもらったばかりなんですよ。  

Commented by amamori120 at 2006-01-24 00:02
>bh2005kさん お晩です。 やはり同県人ですね ♪ 今後ともよしなに願います。 私は、昭和44年からです。最初は八千代台、昭和49年から北習志野です。

読みにくい記事を読んで頂いてありがとうございます。
「福梅」美味しかったですか?
Commented by jsby at 2006-01-24 00:14
日本人の人生を通して、お菓子がどうかかわっているか、なんとなくわかったような気がします。貴重な知識をありがとうございました。
Commented by amamori120 at 2006-01-24 00:23
>jsbyさん どうも、このところ和菓子づいています。明日は鎌倉五郎へ寄るつもりですが、また友情出演願うことになりそうです www
Commented by ninuckey at 2006-01-24 04:36 x
今宮さんのあぶり餅がお供え菓子だったとは、知りませんでした。
清浄歓喜団は、コムコムさんのブログで見かけたような気がするんですが・・・いずれにしても、毎度勉強になります。ありがとうございます♪
Commented by amamori120 at 2006-01-24 08:19
>ninuckeyさん  kom-gはんのところで見た時は、清浄歓喜団なんて正常寒気団の間違いじゃないかと思ったものでした。www
Commented by pecochan77 at 2006-01-25 08:08
亀井千歩子さん、甘いものブログのほうで私も一冊ご紹介しています。
(ライフログ)多分内容は似通ってると思われます。縁起菓子というのもなかなか興味深いですね。あ、ご存知ですか?亀井さんってもともとは旅行作家さんみたい。知らないで買った旅行本がこの方の著書だったことがあります。
Commented by amamori120 at 2006-01-25 19:08
>pecochan77さん  亀井千歩子さん 民俗学の某先生に師事していたと紹介されていました。 だから本書も、どちらかと言うと学術書に近い感じでした。
Commented by bh2005k at 2006-01-28 12:51
福梅 ・・・ 美味しかったですよ。高砂屋さんの福梅は 小振りの最中です。皮が紅(薄ピンク)と白でした。
Commented by amamori120 at 2006-01-28 23:20
>チェイルさん レスが遅れました。すんまへん。
細かくお読み頂いて有り難いです。 高砂屋さん、伝統のある、品格の高い和菓子屋さんのようですね。 福梅は通年商品になっているんですか? or 新年に加賀に居られた?
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by amamori120 | 2006-01-23 21:23 | 甘党キングダム(書籍等) | Trackback | Comments(10)