景山民夫を読む2「ティンカーベル・メモリー」
2005年 10月 12日
若年の頃より”超常現象”に深い関心を寄せていた著者が、今回は「前世体験」に挑戦します。
インテリア・コーディネーターの大久保ひかるはパイン製のバトラーズ・テーブルというアンティーク家具を所有して愛用しているが、これをgetした経緯も、これが彼女の部屋に搬入されてきた前後のことも全く記憶していない。夢遊病の気があるのだろうか?
実は、18世紀にスコットランドの田舎(フォート・ウイリアムズ)に暮らしていたモリー・マクダネルという農婦が、ひかるの守護霊さん(敬称あり)になっていて、しかも、ひかるは彼女の生まれ変わりだということが判って来る。
最初は、モリーが夢仁出てくるだけだったが、回数が重なるにつれ、ひかるの方からもコンタクトできるようになる。
モリーにも守護霊というか守護天使というか、ギリシャ人のクリュティエという女性が居て、自分と同じ生命エネルギー体に属し、しかし自分とは別な個性だという。”魂の姉妹”とも言うべき存在らしい。
これは一種の憑依現象か? 違うみたいだ。
ティンカーベル・メモリーというのは、ティンカーベル(ピーター・パンに出てくる妖精)が魔法の粉をふりかけるように、生まれて来る前に、それまでの記憶が消えてしまうことを言うらしい。
バトラーズ・テーブルが縁で、ひかるは尼寺領介というブリテン趣味の科学ライターと知り合うが、初対面なのに、どこかで以前会ったことがあるような気持ちにさせられる。
また、このテーブルを探し求めている秋場秀文とも出会うが、とても懐かしいような、温かい心地がするのを覚える。
そう言えば、33才で亡くなったモリーには、ダニエルという優しくて逞しい夫がおり、アンドリューという1才半の息子が居た・・・
荒唐無稽な話、ファンタジーだと片づけられるかも知れませんが、「前世体験」についての深い知識と、「幸福の科学」に入信したことからも解る著者の「愛」が、見事に結合され、成功した作品となっています。

