北方謙三「いつか友よ」

北方謙三「いつか友よ」_d0065324_22395177.jpg
読んだことがないのですが、北方謙三、最近は時代小説も書いているようですね。私にとっては北方謙三=ハードボイルド、となるのですが、年を取って、小説も巧くなり、作家としての幅が拡がったのだろうと、ファンとしては喜ぶべきことかも知れません。
でも、やはり北方謙三はハードボイルドですね。生島治郎から始まったとされる日本のハードボイルド山脈は北方のところでひときわ高い峰になっているようです。他に、船戸与一、大沢在昌、加納諒一等々頑張っているのは心強い限りです。

「いつか友よ」の元版は1988.10集英社より刊行されました。
本書は1990.9 集英社文庫・刊 ¥480  05.10.2 読了

これは「挑戦」というシリーズの第5巻になるようです。いきなり一シリーズの最終巻(この時点で)に当たってしまった訳ですね。

水野竜一という凄い男がカナディアン・ロッキーのいずれかの山にたった一人で住んでいる。ペルーでインディオ達と共に戦ってから、こちらに来たらしいが、今は猟をして暮らしている。ペルーでは仲間のインディオから”狼”と呼ばれていた。それほど強くて戦いが巧みなのだ。(↑の表紙の男、まさに竜一ですね)大物をしとめ、その毛皮を売った金で弾丸や必需品を買う生活だ。たまにハンターのガイドをすることもあり、その口コミで「銃には、たった一発しか弾を込めない猟師」として知られている。
彼が狩りをするシーンの描写は見事だ。まるで、自分がひとりで巨大な灰色熊と対峙する気になって来る。そこでの私は、竜一とは違って恐怖でブルブル震えているが。
ある日、竜一は怪我をした15,6才の日本人の子供を助ける。父と共に、ある強力な組織に追われてブラジルから逃げて来たのだ。追いつめられて、父子は断崖から転落するが、父は子を庇って自分が下になって死んだのだ。子供ー圭太郎は、父の仇をうちたいから戦いを教えて欲しいと頼む。
凄まじい訓練が始まる。敵は元FBIスワットにいた男や、ヴェトナム帰りなど、手練れの面々。しかも、二段、三段の構えで襲ってくるのだ。なまじの覚悟では、音を上げる殺人的訓練に圭太郎は耐える。
そして圭太郎の戦いは始まる・・・

久しぶりに北方ハードボイルドを読みスカッとしました。 とにかく竜一の強いこと強いこと。作者も言っているように「自分とかけ離れた存在」になれる筆力は絶品です。あまり強くない「新宿鮫」の鮫島を創出した大沢在昌より数段上の北方謙三でした。
by amamori120 | 2005-10-02 23:29 | 読後感・本の紹介