景山民夫を読む1「遠い海から来たCOO(クー)」
2005年 09月 26日
景山民夫さん。1947~1998 惜しいことに50才そこそこで亡くなりました。残念でなりません。
1986 「虎口からの脱出」で第8回吉川英治文学新人賞受賞
1988 本書で第99回直木賞受賞
私は、↑の2冊と「サラマンダー」しか読んでいません。横山秀夫・完読が成ったら、当面、景山民夫をヤッテみようかと思っています。
さて本書です。一言でいうと”海洋冒険小説”ということになるでしょうか。
ポリネシア、フィジー諸島のパゴパゴ島に海洋生物学者の父・小畑徹郎と二人で暮らしている洋助は、他の島へジェットスキーで通学の途中、ラグーンの潮だまりで、生まれたばかりの妙な生き物を発見した。
それがCOO(クー)だった。アザラシにしては首が長すぎるし、アシカでもトドでもジュゴンでもない。いったい、コレは何なんだ?
家に連れて帰り、父と調べたところ、なんと6、500万年前に生息していたプレシオザウルスの末裔だった!
生まれて初めて洋助を見たクーは彼のことを母親と思い込み、甘えに甘える。牛乳と肝油を取り寄せ、洋助は赤ん坊のクーを大切に育てる。若いイルカのカップル達と共に4人(?)で遊ぶ情景はまさにファンタジーの世界だ。ポリネシアの海と陽光と空が、この上なく美しく描かれる。楽園の微風に吹かれて、お昼寝をしてみたくなりますね。
この幸せな暮らしは永くは続かない。
フランスはガムピエール諸島で、前回のムルロワ環礁に次ぐ核実験を予定していた。この海域にプレシオザウルスの子孫達が生息しているらしいことを掴んでいたフランス政府は、そのことをひた隠しに隠して実験を強行しようとしていた。もしそのことが公になればフランスは世界から袋叩きにあうだろう。
CIAに相当するフランスの諜報機関SDECEのアンテナにクーのことが引っかかり、彼らはマシンガンを持って襲って来た。活劇の始まりだ。
「虎口よりの脱出」で堪能させられた景山のアクション描写力は健在だ。
グリーンピースのエイジェントとして登場する日系三世の美女も魅力的。
直木賞選考会で本書を推した田辺オセイドンも「クーにあいたいっ」と仰有っています。
本書の表紙裏にある宣伝文句が素晴らしい。
「文壇を猛攻する気鋭が贈る、渾身の海洋冒険ファンタジー。遠い海鳴りに彩られて、ここに堂々の登場なる。」
雨漏りオススメの一冊です。

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