貴志祐介を読む 2 「青の炎」

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貴志祐介をUPするのは「硝子のハンマー」に続いて二回目です。
「硝子のハンマー」は所謂、密室物の醍醐味をたっぷり味わわせてくれましたが、今回の「青の炎」は倒叙物の傑作です。つまり最初から犯人の立場で書かれているので、フーダニットを考える必要はありません。

高2の櫛森秀一が殺人の完全犯罪を目論む。対象は、母の再婚相手で、離婚したのに、母と彼と妹が暮らす家に無理矢理転がり込んできて、酒とギャンブルに明け暮れる、どーしょーもない、つまらぬ中年男。このクズ男をDeleteしなければならぬと決意して、計画を色々と立て始める。何万円も出して法医学の本を買ってきて熟読し、物理・化学の教科書もしっかり勉強して、これぞという完全犯罪の方法を案出する。
そして実行。。。検死の結果、病死ということになり、完全犯罪は見事成し遂げられた。
母子三人の平穏な生活が戻って来た、と思う間もなく、意外な所から破綻が生じる懼れが出て来て、第二の殺人を犯さなければならなくなる。当然、これも完全犯罪でなければならない。
そして、再び青い炎を燃やす。。。

作者のあとがきに面白い部分があります。
「作中における殺人方法は、あえて詳述しなかった理由により、ほぼ確実に失敗します。間違っても模倣などされませんよう、お願いいたします。」

解説の佐野洋氏によれば、本書は日本の倒叙物ベスト5に入るとのことです。「刑事コロンボ」のファンの方にはオススメですね。

角川文庫 02.10 刊   ¥700   05.8.10 読了   
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Commented by revenouveau at 2005-08-15 13:23
この小説も、映画化されましたね。監督は、蜷川幸雄さん。
文庫本のカバーは、その1シーンを使っているんでしょうか。
二宮和也さん、松浦亜弥さん、鈴木杏さんなどが出演していて、
なんとなく、アイドル映画のような感じになっていましたが…
Commented by amamori120 at 2005-08-15 22:32
>さ・え・らサン ありがとうございます。蜷川幸雄演出でもアイドル映画的になっちゃうんですか? 原作を読んだ限りでは、主人公、随分大人びているんですがねえ。
Commented by にな at 2005-08-16 00:06 x
殺人のディテールよりも主人公に感情移入してしまう本でした。
映画はみてませんが、どうだったんだろうなぁ。
たしか中年男はやまもと寛斎さんが演じたんですよね。。。
Commented by amamori120 at 2005-08-16 07:22
になさん  おはようございます。 たしかに感情移入してしまいますね。
作者の腕がいいんでしょう。 やまもと寛斎 は意外ですね。
Commented by blackberry_tea at 2005-08-18 19:22
これ読んでみたいです。映画の予告編見たときも、見たいなって思ったんですが結局見ずじまい。緊迫した雰囲気と、なんか悲しげな感じを受けました。
あ、先日「センセイの鞄」を読みましたよ!ゆったりした大人の小説だなあと感じました。大人の小説でありながら、とても純粋。ラストはやっぱりぐっときますね。
Commented by amamori120 at 2005-08-18 21:42
> blackberry_teaさん 今晩HA。 映画の方は予告も本編も観てないですが、本では殺人方法を実に詳しく書かれていますが、主人公と一緒になって苦悩・計画・実行してしまいそうです。
「センセイの鞄」読了されましたか。見事な恋愛小説ですね。
Commented by pecochan77 at 2005-09-12 21:42
貴志祐介は「黒い家」と「青の炎」を読みましたが、両方とも傑作だと思います。「黒い家」のほうは犯罪が人間の欲がらみでどろどろしていましたが、こちらは切ない。。。
ラストのシーンが特に印象的です。
ちなみによせばいいのに映画も観てしまい、原作の良さが半減していたのにがっかりした記憶があります。。。^^
Commented by amamori120 at 2005-09-12 22:15
> pecochan77さん 有難うございます。 ある知人によれば、小説と、その映画化(TV化)とは別物として楽しむべきだ、とのことです。と言っても、なかなかそうは行かないことがありますね。
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by amamori120 | 2005-08-13 17:53 | 読後感・本の紹介 | Trackback | Comments(8)