森 雅裕を読む 2 「化粧槍とんぼ切り」

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2000.3  集英社・刊  ¥2100   05.7.30 読了


森 雅裕については、以前、モーツァルトは子守唄を歌わない をUPしましたが、今回は時代物です。
化粧槍とんぼ切り というタイトル通り、或る名槍にまつわる多くの人々の物語です。(少しネタバレさせます)


徳川譜代の有力家臣、本多忠勝の娘、稲が主人公。同族だが、それほど親交のない本多正信の娘、一重が真田信幸に嫁ぐことになっていたが、不慮の災難で、急遽、稲にお鉢が回ってきた。稲は家康の養女の体裁をとり、真田の嫡男の正室となった。絶世の美女と謳われた一重にふりかかった災難とは?これが二人の女の運命を大きく狂わすことになるのだが、事の次第は終盤に明らかにされる。

稲が嫁いだ真田家は、義父昌幸と義弟幸村が豊臣につき、夫の信幸は徳川に忠誠を誓う。父・兄・弟が敵同士になる訳だが、これは、稀代の策士で、家康にも苦汁を飲ませた昌幸の、真田家存続策だった。徳川方での信幸の立場は微妙だったが、稲は家康の養女という立場を活用して、お家存続の努力をする。

一方、武系の本多忠勝に対し、文系の本多正信は大名取りつぶしを推進しているが、忠勝の愛用する名槍とんぼ切りが、徳川家に仇なす、村正の作だと言い出す。実際に、正寛という名で登場する刀匠は、別名・村正であり、銘こそ正寛だが、この名槍とんぼ切りを作ったのは彼だった。
自分の娘・一重が嫁ぐ筈だった真田家に嫁した稲の父親忠勝を追い落とそうとする正信の企みは成功するのか?
大坂冬の陣、夏の陣における両真田家の運命は?
名槍とんぼ切りはどうなる?

史実をよく調べ、それに作家の想像力を加えて、面白い読み物に仕上がっていて、一気に、楽しく読了できました。
by amamori120 | 2005-08-07 21:28 | 時代小説を読む