川上弘美「センセイの鞄」
2005年 06月 29日
これは見事な恋愛小説ですね。
本書は、2001年、谷崎潤一郎賞を受賞していますが、洵にムベナルカナと思われます。
ブロ友、さ・え・らサンのお薦めで川上弘美さん二度目の見参ですが、いい本をご紹介頂き、さ・え・らサンには多謝多謝です。
白状しますと、「古道具 中野商店」が図書館で借りられなかったので、「いとしい」という作品を借りて、川上さんに初見参したのですが、どうにも読了出来ず、2/3ほどでギヴアップしてしまいました。そのことを、さ・え・らサンにこぼすと「川上さんには色んなカテゴリーがあって、「いとしい」はファンタジーに属するもので、受け付けない人には苦痛かも・・・」と慰められてしまいました。「最初に、 いとしい を手にとって苦痛を感じた人は二度と川上弘美を読まないだろう」とも。
その後、、「古道具 中野商店」を無事?、楽しく読了し、次いで本書によって、川上弘美の幅広いカテゴリーの中で、自分の好きな部分を見つけたという嬉しい結果でした。
卒業後20年して、駅前の一杯飲み屋で再会した高校の時の国語の教師・松本春綱先生(センセイ)と大町ツキコさんの物語です。そしてそれはツキコさんのサイドから語られます。
淡い淡いつきあいを続け、一時期、贔屓のプロ野球チームのことで、ごく短期間だけど二人の感情に行き違いが生じたりすることもあったけれど、色々なエピソード、様々なおつきあいを積み重ねた二年を経て、文庫本だと270ページのうち、やっと268ページ目で二人は結ばれます。(このエピソードたち、センセイになったり、ツキコさんになったりして、つまり感情移入しながら、読み進めることが出来ました。)そして「センセイ言うところの”正式なおつきあい”を始めてから三年。それだけの時間を共に過ごした」あとで、「センセイの鞄をわたしは貰った」のでした。
感情移入した人は、269ページで、感動と共に泣かされます。 05.6.29読了

