筒井紘一「名器がたどった歴史」
2007年 05月 04日筒井紘一「名器がたどった歴史」 茶の湯案内6
1984.9 主婦の友社・刊 ¥1,480
ご案内のとおり、日本独自の茶の湯は千利休が大成した訳ですが、
いわゆるわび数寄の茶を主張した利休の審美的影響は、茶の湯の世界
にとどまらず、広く日本人の生活文化全体に及んでいるようです。
古来、茶の湯の世界では数寄者によって秘蔵され、愛玩されてきた名物茶器はそれぞれの運命をもって今日まで伝来してきました。
そして今後も、さらに新しい運命を辿るであろうという意味で、現存の茶器の多くは生き続けていると言うことができます。
一般に名物とされる茶器の多くはそれぞれに銘を持ち、その殆どが所謂伝説を伴って今日に伝わっています。
茶人の審美眼によって選び出された茶器は、「銘」を与えられることによって、そこに精神性を生じます。「出合い」と「独自の造形美」「精神性」を備えた茶器は、歴史の重みを担いつつ、今ここに在るのです。
裏千家今日庵に深く関わった著者が、そんな茶器のいくつかを採り上げて、それに関わった多くの人たちの運命を辿りながら、茶の美術史の一端を明らかにした本です。
<雨漏りメモ>
名物茶器というのは、それぞれ個人の好みの意匠のもとにとりあげられたもので以下のような「名物」があるそうです。
☆東山御物:室町将軍家代々の唐物の什器を、義政の同朋衆・能阿弥が選定したもの。
☆大名物:珠光、引拙、紹鴎、利休などの、目利きによる好みの茶器。
☆中興名物:遠州の好みになるもの。
☆八幡名物:松花堂昭乗による。
☆柳営御物:徳川将軍家。
☆雲州名物:ご存じ松江は松平不昧公好み。
☆千家名物
☆藪内名物
それでは”名器”のいくつかをご紹介して参ります。
数々の名器、その持ち主が転々と替わっていく。
まさに諸行無常・・・・・どすなぁ。