藤田宜永「野薔薇の殺人者」

藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_1741819.jpg藤田宜永「野薔薇の殺人者」
1993.10 廣済堂出版・刊 ¥1,400

奥さんの小池真理子サンが「恋」で直木賞を受賞したのに続いて藤田サンも「愛の領分」で直木賞を受賞しています。





藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17442117.jpg

藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17434253.jpg

「愛の領域」はじめ情感溢れる恋愛小説で人気のある藤田サンですが、
デビューの頃は冒険小説を書いていました。
本書もその一つなんでしょう。
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17542224.jpg
               【深夜のコンビニ事件簿】


サブタイトルにもあるように、深夜のコンビニに飛び込んで来る客が事件も
連れて来て、主人公が律儀にそれにつき合うという連作短編集です。
収録作品は
☆第三の人生
☆野薔薇の殺人者 
☆ふたつの愛の物語 
☆雪の降る町を・・・       の四編。

中里雄一は30代半ば。恵比寿にある、兄が経営しているコンビニを手伝っている。
深夜担当だ。
以前は商船大を卒た船乗りだった。航海士の頃、ある事件を起こし船を降りた。
船員の中に、陰気でみんなからいじめられている陽一郎という若いのが居て、雄一は自ら近づいていって可愛がってやったので、彼も雄一だけには心を開くようになったのだが、今もって理由が判らないのだけれど、ある日、陽一郎が急に暴れ出しナイフを船長の首に擬しながら立て籠もった。
雄一の説得にも耳をかさない陽一郎の隙をついて船長を救い出したが、弾みで彼を殴り殺す結果となり、過剰防衛ということで執行猶予こそ付いたが有罪になってしまったのだった。それが船を降りた理由だった。

雄一の「おせっかい癖」はコンビニの仕事に就いても治らず、娘の不始末の片を出刃包丁でつけて第三の人生(刑務所)に入ろうとした2nd Stageのオヤジを助けたり、偽金がらみで殺された元一流商社マンの事件を、その死体の頬に、いっぱいついた細かい穴から、歌曲「野ばら」をもとに解決したり、姪っ子のボーイフレンドの父親が不景気な病院をクビになって殺された事件に首を突っ込んだり、雪の降る日、拳銃を持って逃げ込んで来た、陽一郎の面影を宿す少年の殺人容疑を、調査中に自分も殺されそうになりながらも晴らしてやったり。。。。。

ハードボイルド風味の見事なエンターテインメントになっています。
続編を書いてくれないかなぁ♪









my書棚の藤田宜永サンの恋愛小説
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17471265.jpg
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17472460.jpg
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17473542.jpg
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_17474851.jpg
藤田宜永「野薔薇の殺人者」_d0065324_1748129.jpg


まだ恋への憧憬を失ってない方は、藤田宜永サン 読んでみては?


直木賞受賞作家たち はコチラ
by amamori120 | 2007-04-11 17:52 | 読後感・本の紹介