澤田ふじ子「土御門家・陰陽事件簿シリーズ」

澤田ふじ子「土御門家・陰陽事件簿シリーズ」_d0065324_022639.jpg「大盗の夜」 2004.11 
光文社文庫・刊 ¥650

今度は、江戸時代の陰陽師(おんみょうじ)が活躍します。






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安倍晴明を家祖とする陰陽頭(おんみょうのかみ)・土御門家は、寛政3年、幕府から朱印状を授けられ、全国の陰陽師(おんみょうじ) 支配を許された。俗に易者と言われる陰陽師たちに、職札(ライセンス)を交付するなどの権利を得たわけです。
同家を支えるのは、晴明が使ったとされる十二の式神に因んだ譜代陰陽師の十二家。
この譜代衆たちが触れ頭(ふれがしら)として全国の陰陽師を指揮監督して査察して歩いていたんです。

澤田サンの他のシリーズ同様、また珍しい職業の人間が主役を勤めまする。
主人公は笠松平九郎。譜代衆の一人として京都触れ頭の一人を勤めています。
帯刀人で剣技は相当なもの。
京で陰陽師として生業をたてる易者、人相見などの占い師たちを統括する役目を果たしつつ自身も四条小橋西で辻占いをしつつ、民情を探ったりするのです。
お約束通り、京都東西町奉行所とも連絡を取り合っています。

この平九郎が、陰陽師がらみの色んな事件を解決していくシリーズ物なんです。


「鴉婆(からすばば)」  2005.11 光文社文庫・刊  ¥650
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全国の陰陽師(おんみょうじ)支配を許された土御門家に、服さない一派がありました。
大黒党(家)といって、土御門家の全国支配に異を唱える陰陽師たちも存在したのですね。
土御門家は代々の家職として禁裏の陰陽道を司ってきた訳ですが、大黒党も地下官人(じげかんじん)として洛西・西院村に三石の領地を賜り、院御所に参仕して左義長役を勤めたりしていることが、その根拠なんです。
左義長とは、ご案内のように、正月十五日に行われる悪鬼祓いの行事。庭に青竹を束ねて立て、それに扇子や短冊などを結びつけ、陰陽師が歌い唱して焼くもの。

この第二巻では、大黒党の連中が現れて、色々と絡まり合いながら、結局は笠松平九郎とともに事件の解決に当たって行くわけです。

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沢田ふじ子サン
by amamori120 | 2007-04-05 00:35 | 澤田ふじ子を読む