「江戸は川柳、京は軽口」下山山下
2007年 03月 09日下山山下(しもやま・やました)サン著
1992.5 山手書房新社・刊 ¥1,600
江戸における庶民文芸の一つ、川柳。
ところが、京都には「軽口頓作」というものがあったことを、雨漏り、39年の人生で初めて知りました。
どちらも口語で書かれていて、基本的に、五・七・五調。
川柳が、言葉がキリッと締まった都会人的センスに溢れ、知的操作とか頭脳的表現でなされるのとは異なり、軽口頓作は、実にあけすけで、おおらかなユーモアが楽しめるもの・・・とされています。
♪これはこれは・つめたい足を夫(とと)どうぞ
♪よいものじゃ・つめたい足じゃかかゆるしゃ
♪床入りのまくらことがは冷たがり
『軽口頓作』は1709年の出版。江戸と違って、京都は少数のお公家さんや、お坊さん、武士以外はほとんどが町人。そういう商人や職人という町人階層の人たちが詠んだ句の中から、秀作、佳作を雲鼓!?という先生(宗匠)が選んで出来たのが、軽口頓作なんですね。
軽口頓作では、最初の五文字を先生が出題します。頭の五文字だから笠題といいますが、そのあとに応募者が七・五と付けるので、こういう形式の句を笠づけ、と呼ぶそうです。
一方、川柳は五七五全部を作者が作りますね。
♪大事ない・毛虫が留守じゃながうなれや
(親をさして云也)
この句のように注釈がところどころあるのも軽口頓作の特色の一つです。
邪道かもしれませんが、形式ばらないのが身上でもあるんです。
甘キンらしく、お菓子の句をひとつご紹介します。
♪ぼた餅が嫁入(よめり)で親をはぎの花 ぼた餅は不美人の異称。持参金がたくさん必要。それで親の身を剥ぐ。
ぼた餅すなわち、お萩、という意味を掛けています ww
ちょっとHなのを
♪身を入れてはたらく下女は両用い
夜のお勤めも果たしている・・・
♪あんのじゃう・旦那の御作玉が腹
(下女也)
玉という下女の腹に旦那が作品を作った・・・
私が愛読している澤田ふじ子さんに「公事宿シリーズ」がありますが、公事の句も
♪麦めしの味もわすれた長い公事 麦めしを常食とする農村の人が、すっかり白米のご飯に慣れてしまうほど都会での長い裁判沙汰。
♪心きき勝栗もって公事見廻(みまい)
♪とんで出る・さあ勝公事のあとも見ず
♪五月女(さおとめ)をうしろから見ておやす也
♪かしましや・こらえかねては田へつぶて
稲の苗を植える女子を早乙女といって、それが数名横一列になって苗を植えながらバックしてくる。若々しいお尻が横一列になって、見ている若い男の目の前に迫ってくる。たまらなくなって可愛いお尻に石粒(つぶて)を投げる野郎もいれば、”反応”するやつもいる。
京童(わらんべ)、夫婦、子、どら息子・いろ娘、恋心・欲目流し目、金、仕事・商売・メシの種・・・・に分類して解説がなされています。
図版も多く載っています。
「軽口頓作研究会」なるものがあって、著者も勿論メンバーの一人ですが、下山山下とはネ
京都の人かと思うと、さにあらず。群馬出身で現・千葉松戸市在住。しかも常盤平。ウチの長女一家と同じところじゃありませんか
特別投句 by みっちゃん
♪ついて出る・E区の聖いまもここあり
(往年の師匠)
”往年”とはなんじゃいな (怒)