おかあさんのうた サトウハチロー

d0065324_0104952.jpg『おかあさんのうた』 
1996.4 講談社・刊

詩・サトウハチロー  写真・前田真三  





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♪ おかあさんはわたしを生んだの

   おかあさんはわたしを生んだの
   それから
   わたしをそだてたの
   それから
   わたしをたのしみにしていたの
   それから
   わたしのために泣いたの 
   それから
   それからあとはいえないの

   
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レンゲ田に祈る  鹿児島県入来郡




♪ おふくろがつめてくれた弁当は

   おふくろがつめてくれた弁当は
   ふたをあけただけですぐわかるんだ
   おかずのならべかた
   小さい紅しょうがの置きかた
   その上を往復したおふくろの指
   めしの上にそれがちらつくんだ

   
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苗代とワラブキ小屋  長野県大野市





♪ そえからそえからとせがむボク

   そえから そえからと せがむボク
   それから それからと つづける母 
   ボクが大きくなり
   そえから そえからが
   この部屋から消え・・・・・
   それから それから
   母の夜は わびしくなったのです

   
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丘のこいのぼり  北海道美瑛町





♪ わたしは時々 足の親指をみる 

   わたしは時々 足の親指をみる
   つくづくとながめる

   わたしに足の親指は
   そのまま母の足の親指
   わたしはそれを
     いつまでもみている
     ながめてる

   
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茶摘みの人  奈良県山添村






♪ ちいさいやどかりを手にのせて 
 
   ちいさいやどかりを手にのせて
   母は何かを話してた
   その砂山に その砂山に
   いまわたしはたたずんでいる
   すぎし日の母とおなじに   
   ちいさいやどかりを手にのせて
   なにごとかをつぶやきながら・・・・・


   
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渚に遊ぶ  千葉県鴨川市






♪ かァさんの手紙を読みました
   
   かァさんの手紙を読みました
   あて字ばかりの手紙です

   「からだを大事になさいね」が
   ずらりずらりとならんでいました

   返事は出さないことにきめました
   又「からだを大事にね」が
   ならんでくるからです

   
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石垣の小菊  奈良県室生村






♪ 秋風に 母の声がある

   秋風に 母の声がある
   秋のひざしの中に 母の目がある
   秋に雨に 母のつぶやきがある   
   秋の窓に 母の影がある

   わたしは
   秋の中に 母の姿を描く

   
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石段の落ち葉  岐阜県高山市







♪ 壁に母がその手で  
 
   壁に母がその手で
   つくりだす 影絵
   影絵の影絵の子狐の
   首のかぼそさに
   秋の風が ゆれて
         ふるえて・・・・・

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ムラサキシキブと民家  岐阜県小坂町







♪ ひとりぼっちの母は
         つぶやきました


   ひとりぼっちの母はつぶやきました
   
   灯りを消しましょう
   灯りがついていると
   ひとりぼっちの 影がうつるから
   ひとりぼっちの 影を見ていると
   ひとりぼっちが ハッキリわかるから・・・・・

   
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暮色残光  北海道美瑛町






♪ 母の手と指

   お米をとぐ音
   お餅のやける匂い
   おかゆのおねばにうつるやわらかい灯(ともし)び
   その音 その匂い
   その灯びを想うと
   母の手がうかぶのです
   母の指まで うかぶのです
   そうして
   中指の根もとにある
   小さく黒く光るほくろまで
   うっすりと涙に ぼやけて
             にじんで・・・・・

    
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朝の池  三重県上野市


おかあさんのうた まだまだ素敵な詩がいっぱいです。
写真も良いですね♪
by amamori120 | 2007-02-12 00:34 | 読後感・本の紹介 | Trackback | Comments(27)
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Commented by ますちーママ at 2007-02-12 06:57 x
おはようございます~朝起きて素敵な詩と写真、拝見できて
爽やかになりました。有難うございます。
サトウハチローさんは紅緑さんの最初の妻の子供でしたよね、確か。。
愛子さんとも異母つながりにあり、結局捨てられた形のハチローさん
達ですよね。やはり実母に対する愛情はかなり強かったのでしょうね。
かなり不良だったハチローさんですが、このような優しい詩が
書けるのはやはり複雑な家庭環境から来る母への最大級の愛
なのでしょうかね?その割にはハチローさんも女性関係が激しかったらしいですよね。(苦笑)
Commented by amamori120 at 2007-02-12 08:07
>ますちーお姉様  お早いお着き、ありがとうございます♪
随分と、お詳しいので驚きました(*_*)
お楽しみ頂けたようで洵に重畳です。
Commented by miki3998 at 2007-02-12 11:50
雨漏り先生、どの詩も胸にぐっと来ますねえ。

 おふくろがつめてくれた弁当は

  朝から目頭が熱くなりました。 
Commented by pinkcowgirl at 2007-02-12 12:12 x
雨漏り師匠、とてもいい詩ばかりです。
母の日も誕生日もまだまだです、
でもちょうど私の誕生日が来るので、(自称29才?です)
「母の手と指」が冬景色も素敵なので、
筆不精でも、カードにプリントして、母に明日送ります。
母を思い出させてくださって、有難うございます
Commented by amamori120 at 2007-02-12 14:50
>miki先生 
ご両親が、ご健在で羨ましいです。 お二方とも親孝行な娘さんを持たれて、お幸せだと思っています♪
Commented by amamori120 at 2007-02-12 14:52
>あや姐さん
私の、詩の選択、間違ってなかったようですね♪
お母上は日本ですね?
親の居るうちに親孝行いたしましょう。
もう私は、したくても出来ません(/_;)
Commented by みっちゃん at 2007-02-12 15:57 x
師匠・・・なんだかさみすぃ~詩ばっかで・・・
(ノ_・、)師匠の今の気持ちが・・・・・
昭和の・・いや、古きよき時代のお母さんね。
いまは・・・なんだか・・・
(・_・)ちがぅ気も・・しなくもない・・・・け?
Commented by sweets25 at 2007-02-12 16:40
こんにちは^^
小さい秋見つけた・・・を思い出しました。
確かハチローさんだったような。。
今、「おかあさんといっしょ」でもハチローさんの歌がよく流れています。
少し前のNHKのドラマも思い出しました。
唐沢さんがハチローさん役でした。。
あ、血脈、読もうと思ってまだ読んでないことも思い出しました・・・^^;
まとまらない文になってしまいました・・・スミマセン。。
Commented by amamori120 at 2007-02-12 16:46
>みっちゃん
そう言えば、そうですね。  ハチローさん、母の愛が不足していたのでしょうか? 

またぁ・・・  大好きだった亡母を思い出してしもたがナ (/_;)

みっちゃんは、どんなおかあさんにならはるんやろな? 
Commented by amamori120 at 2007-02-12 16:49
>sweets25さん  こんにちHA。
佐藤愛子さんのエッセイは10冊ばかり読んだので佐藤家のことは大体わかったつもりですが、『血脈』は最後に取っとこうと思っています♪
Commented by jsby at 2007-02-12 20:42
詩に添えられている写真が印象的なものばかりで、思わず見とれてしまいました。サトウハチローさんの詩は、物悲しさとともに謎に満ちているような気がします。
Commented by amamori120 at 2007-02-12 21:34
>jsbyさん
徳川夢声らとTVに出ていた彼を覚えています。 汚らしい髭面でしたが、純な心を持つ人のように見受けられました。
Commented by けーこ at 2007-02-12 22:16 x
私も「大好きだったお母さん」と言われるようにならなくては・・・。
でも、なかなか険しい道のり。
今日も「お母さんよりおばあちゃんがスキ!」
なんて言われてしまいましたよ。トホホ・・・・。
Commented by 維真尽 at 2007-02-12 22:58 x
みっちゃん さん の言われるように
寂しい感じが すごく出てる 詩 ですね~

それにしても
写真 
すごいすてきで、 癒され~ま~す
Commented by amamori120 at 2007-02-12 22:59
>けーこさん
ウチは弟が先日亡くなったオヤジ似で、私は母親似でした。先日帰郷した時も、親戚の連中に言われましたヨ。

おばあちゃんは責任がないので、小さい子供をあまり叱りません。
長女の長女も”ママなんか大嫌いっ”ってよく膨れていますww
ご心配無用です。子供がホントニ好きなのはなんたってママです♪
Commented by amamori120 at 2007-02-12 23:12
>維真尽さん
みっちゃん さん < 天み って呼んでやってください ♪

サトウハチローさん 母の愛に飢えた育ちをしたようですね。

写真  プロって凄いって思いましたヨ ♪
Commented by usayamama at 2007-02-13 22:18
どのお写真も「おかあさん」という言葉に合います。
どうして自然の風景って「おかあさん」ぽいのでしょうね。
どの詩も優しくて、しんみりしちゃいます。。
Commented by amamori120 at 2007-02-13 23:00
> usayamamaさん
サトウハチローさん いかつい顔に似合わない詩を書くんですよね。
味わい深い、”おかあさんの詩” グッと来るものが多いです。
Commented by kawazukiyoshi at 2008-01-18 10:28
お母さんはいいねー。
サトウハチロウさんの面影が思い出されます。
大きな体で、ポロポロな流しながら読んでいた
あの詩。
有難う。
今日もスマイル
Commented by amamori120 at 2008-01-18 10:42
>kawazukiyoshiさん
おはようございます。  ご来駕有難う存じます♪
レスの前に、ちょこっとお邪魔しました。
詩を書いていらっしゃるんですね。
後ほどゆっくり伺います♪
Commented by 鵺娘 at 2008-02-23 20:47 x
神童と呼ばれた長姉は、九歳で亡くなりました。
私は、長姉の身代わりとしてこの世に生を受けました。
でも両親は、生まれて来たのが、長姉でなく私である事に失望した様です。
私は、両親の愛を知らずに育ち、その後、家庭は、崩壊しました。
私だけが、「家族を捨てた父に似ている!」
母と次姉からは、毎日折檻を受けました。
「おかあさんはわたしをうんだの」を読んだのは、小4の時でした。
その頃には、私は、もう母よりも三歳上の次姉よりも大きかったから負けなかったのに!
虐待には、無抵抗でした。
それも愛して貰いたいが、ゆえでした。

我を生み それから何を したのかと
泣かせるだけの 母に問いたき

 当時作った歌です。

 
Commented by amamori120 at 2008-02-23 22:54
>藤娘さん   コメントありがとうございます。
とても悲しいお話ですね。
頑張って生きてください。
Commented by アナスイ at 2009-06-23 22:49 x
ぐっとくる詩で感動です。
Commented by amamori120 at 2009-06-23 22:56
>アナスイさん  こんばんHA
ご訪問ありがとうございます♪
Commented by アイズビット at 2009-07-20 12:27 x
アイズビットです。ちょこっとお邪魔しました。
私も詩を作ってみたくなりました。
Commented by amamori120 at 2009-07-20 12:38
> アイズビット さん
家人Tに観させますネ
Commented by あすか at 2009-09-19 15:46 x
かんどー(T_T)
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