吉田菊次郎「ヨーロッパお菓子漫遊記」

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渋谷でブールミッシュという、お店を経営するシェフ・ヨシダさんは、26才から3年間パリ、バーゼル、ジュネーブでお菓子造りの修行をされました。
その著者がJTBとタイアップして、ヨーロッパのスウイーツ・ツアーを企画され、本書の刊行(1966)までに4回ものツアーを成功させています。勿論メインは、お菓子ですが、所謂、名所旧跡、観光スポットも外しません。ただ、漫然と旅行社のセットしたツアーに参加するのも、それはそれで意味があるんでしょうが、お菓子ツアーという、ある程度目的を限定したツアーも印象的でいいものだなと思いました。

オーストリア ウイーンといえばザッハートルテですね。ホテル・ザッハーとデメル、この二軒が、元祖だ、本家だと争ったことがあったようですが、今は仲良く両方本家で双方とも大繁盛だそうです。ウイーンのお菓子屋さんの製品は総じて古典的だそうで、デメルのシェフは「当店のお菓子は、これ以上まずくなっても、またおいしくなってもいけない」と言ってるそうです。
その他、クーゲルホップフとも、クグロフとも言われるパン菓子も愛されているようです。、アップフェルシュツルーデルや、カーディナルシュニッテンなども注目されます。






スイス  チューリッヒではバウアーという店に寄った。スイス銘菓の、エンガディーナー・ヌッストルテがメインになっている。
これ以外に、ローゼンヒュエヒリ、シュネーバレンがオススメだ。
ジュネーブでの逸品は、ボンボン・オ・ショコラだ。かつて著者が修行したロールというチョコ専門店を訪問した。

フランス パリの御三家を紹介する。
まず最大手が、ルノートル。西武と提携している。次に、ご存じフォション。新宿高野、明治屋、紀ノ国屋を足した感じ。高島屋と提携。最後に、ダロワイヨー。不二家と提携している。他に、ユーハイムと手を組んだペルティエも頑張っている。、ドラジェ専門店のマルシアルも見逃せない。クレープはブルターニュ地方が、その本場と言われている。

こういう感じで各国各都市を歴訪し、それぞれの銘菓、菓子事情、菓子店・工場を紹介している。

イタリア ローマ、フィレンツェ、ミラノ、コモ湖    イタリアはモッタアレマーニャの二社が菓子業界を寡占していたが、モッタがアレマーニャを吸収してしまい殆ど独占状態となっている。
パネトーネはイタリアならではのレーズン入りのドーム状をしたパン菓子の一種で、祝い事や集まり、クリスマスには欠かせないもの。

スイス  チェルマット

ドイツ  ハイデルベルグ、ローテンブルグ、ニュルンベルグ、ミュンヘン
レープクーヘンとは香料入りのはちみつクッキー。口当たり固く、あるいはしんなりと重く、いかにも中世からの生き残りという感じ。
ご存じバウムクーヘンがドイツを代表するお菓子であることは今も変わりがない。

ベルギー  ブリュッセル、ブリュージュ   一方のスイスと双璧をなすと言われるチョコレートの本場。ゴディヴァが代表的専門メーカー。ベルギー王室御用達メーカー、ノイハウスも頑張っている。

イギリス  バーミンガム、ロンドン   チョコレート会社として名高いキャドバリーを訪問。
フォートナム・アンド・メイソンは誰でも知ってる紅茶の名門。ここのアフターヌーンティーセットはスゴイ!そのヴォリュームは日本人にとっては立派な食事コース。お腹がいっぱいになってしまうほどのサンドウイッチ、ケーキにスコーン。


スペイン マドリッド、トレド、グラナダ、セビリア   カステラとして日本に伝えられたスポンジケーキの発祥の地。
ポルボロンというお菓子をご存じ?スペインを代表するお菓子です。クッキーの一種です。
ウエボ・イラードは長崎では卵ぞうめん、鶏卵ぞうめんの名で親しまれている、南蛮菓子のルーツ。
ボーロとは、お菓子という意味。京都のおみやげともなっている、丸ぼうろ、そばぼうろ、花ぼうろとなって伝えられている。
高級チョコレート専門店フンカルでスペインが現代のチョコレート文化の原点であることを認識。

ポルトガル リスボン、アヴェイロ、コインブラ、
フィオス・デ・オーヴォス、トロッシャス・デ・オーヴォスという卵黄を使った菓子を賞味。コンフェイトスという糖菓も売られている。金平糖の起源だ。

時事通信社・刊  ¥1,600(税込み)         05.7.10 読了
by amamori120 | 2005-07-10 23:37 | 甘党キングダム(書籍等)